緊急避妊とは何ですか?
緊急避妊とは、あなたが避妊をしないでセックスしてしまったとか、コンドームが破けるなど、避妊の失敗が起こったなどの場合に、妊娠を防止する方法です。その最も一般的な方法が、緊急避妊ピルと呼ばれるものです。セックスの後に内服されるピルとしてアフターピル(モーニングアフターピル)とも言われています。時には、子宮内避妊具も使用されることがあります。 避妊効果は子宮内避妊具>緊急避妊ピルとなります。すべての緊急避妊法は、無防備なセックスが行われた後、数日以内に行われなければなりません具体的には、緊急避妊ピル内服は72時間以内、子宮内避妊具挿入は120時間以内に行われなければなりません。あなたにとって最も適当と考えられる方法についてご相談させていただきます。
緊急避妊の方法
1ノルレボ錠
世界的に広く使用されている緊急避妊ピルです。ノルレボ錠は、厚生労働省より認可された緊急避妊剤です。妊娠阻止率は、ヤッペ法57%、ノルレボ85%と言われています。ノルレボ錠は、ヤッペ法に比べ、嘔吐の副作用が著しく低く、妊娠阻止率も高いので、ヤッペ法よりもノルレボ錠の方をお勧めします。2019年にノルレボ錠の後発薬が発売され、緊急避妊の薬代が少し安くなりましたが、経口避妊薬ピルの避妊効果とは比べものにならないほど避妊効果は低いので、緊急避妊を繰り返すのではなく、避妊が必要な方は継続した避妊を行うことをお勧めします。
レボノルゲストレル錠による妊娠阻止率のめやす
24時間(95%)、48時間(85%)、72時間(58%)
2ヤッペ法
中用量ピルを2錠内服し、その12時間後にもう2錠内服する方法です。日本では緊急避妊ピルとしてこの治療法が以前より行われてきましたが、副作用や避妊効果の点で、ノルレボに劣ります。厚生労働省より認可された緊急避妊剤ではありません。


3子宮内避妊具挿入(IUD)
銅付加子宮内避妊具は金属の銅が添加された子宮内避妊具です。ピル内服よりも避妊効果が高いため、妊娠経験があり、今後継続して避妊が必要な方にはこちらがもっともお勧めです。ただし、子宮内避妊具挿入によって、性感染症に罹患していた場合には骨盤内炎症性疾患にかかる可能性があるため、性感染症検査や予防的抗生剤内服の検討をお勧めします。
緊急避妊ピルの成分は何?
緊急避妊ピルとは、避妊目的で使用する「経口避妊薬」と同様なホルモン剤です。もちろん、同じ使い方ではなく、緊急避妊ピルとしての独特な使われ方をします。
どうして、緊急避妊ができるのですか?
あなたの月経周期のどの時期に、緊急避妊ピルが服用されたかによって作用の仕方が異なりますが、例えば「排卵を抑える」「受精を邪魔する」「子宮への受精卵の着床を阻止する」などが考えられます。妊娠の成立とは、受精卵が子宮内膜に着床することを言うので、いったん着床してしまったら、すなわち妊娠が成立した場合には、緊急避妊ピルの効果は得られないことになります。
いつまでに緊急避妊をおこなうのですか?
緊急避妊ピルは、無防備なセックスが行われた72時間以内(3日以内)に服用しなければなりません。緊急避妊の効果は、避妊の失敗から早ければ早いほど効果的と言われています。72時間を過ぎても全く効果がなくなるわけではありませんが、72時間以内のできるだけ早い時期に内服するように勧められています。また、子宮内避妊具(マルチロード挿入)は120時間以内(5日以内)に行わなければなりません。(排卵時期が推定され、排卵後5日以内の場合には挿入可能な場合もあります。)
子宮内避妊具(IUD)による緊急避妊
避妊失敗の5日目(120時間以内)までに銅が添加された 子宮内避妊具IUD を子宮内に挿入する方法です。緊急避妊で72時間以上越えた場合でも避妊のために挿入する事で着床を防ぎ、避妊効果が高くなります。緊急避妊ピルによる避妊の効果が期待できる72時間以内に内服が間に合わなかった場合にも効果的です。
どうやって銅付加IUDで避妊できるの?
銅付加IUDが銅イオンによって精子の運動性に直接働きかけて受精を阻害するということは広く知られています。銅付加IUDは、受精前および受精後の両方に効果があると言われています。受精が起こったとしても、子宮内膜の異物による炎症反応が卵が子宮内膜に着床するのを妨げ、子宮頚管粘液の銅含有量が変化することによって、精子の子宮内への進入が阻害されていることなども考えられています。妊娠の成立は受精ではなく、子宮内膜への着床でおこると考えられています。ですからIUDで妊娠の成立を防ぐことができます。挿入した IUDはそのまま継続して5年間避妊に使用できます。銅付加IUDでは、月経過多が起こることがあるので、月経量が多い人は緊急避妊ピルを服用し、継続的な避妊に子宮内避妊具を使用したい方は、月経開始後にミレーナ(IUS)を挿入することをお勧めします。
緊急避妊ピルを服用することで、どの程度の効果があるのですか?
緊急避妊ピルは妊娠を防止しますが、100%というわけではなく、数%に妊娠が起こることもあります。仮に、緊急避妊ピルが頻繁に使用されたとしても、経口避妊薬を避妊目的で継続的に使用している女性に比べて妊娠率はかなり高くなります。
緊急避妊ピルは安全ですか?
世界では、1970年代の半ば頃より、緊急避妊ピルを使用してきました。少ないとはいえ、出血、頭痛、悪心などの副作用が現れることがあります。
緊急避妊ピルの副作用とは?
緊急避妊ピルを服用しますと、一時的ですが気持ちが悪くなったり、吐いたりする場合があります。時には、頭痛、めまい、腹痛、乳房緊満などが起こることもあります。ただし、これらの副作用は24時間以上継続することはありません。
緊急避妊ピルは今回だけの避妊のためのくすりです!
緊急避妊ピルを服用した後、無防備なセックスが行われた場合、そのセックスによる妊娠を防止することはできません。緊急避妊ピルの効果は今回一回のみです。今後も継続して避妊が必要であれば、継続避妊が可能な低用量ピルの継続内服か、子宮内避妊具の使用などを検討してください。緊急避妊ピルが本当に効いたかどうかは、服用後すぐにわかるわけではありません。次回の月経がきて初めて妊娠を避けられたことが分かります。
ピルを内服した場合には月経が少し遅れたり、不正出血が起こることがあります。また、「月経」が「不正性器出血」や「妊娠初期の出血」と区別できない場合もありますので、次回月経が通常と明らかに異なる場合には、妊娠の可能性を考えて、予定月経日を1週間過ぎたところで、医師の診察を受けることをお勧めします。
緊急避妊ピルを服用したにもかかわらず妊娠してしまった場合に赤ちゃんに影響がありますか?
今まで知られている限りでは、緊急避妊ピルで生まれた赤ちゃんに異常があったということはありません。
どのように緊急避妊ピルを服用するのですか?
無防備なセックスが行われた後、72時間以内にできるだけ速やかに2錠のピルを服用して下さい。(ヤッペ法の場合にはさらに12時間後にもう2錠服用してください。)
72時間(3日)が既に経過していた場合、緊急避妊ピルの服用は十分な効果を期待できませんが120時間までは効果が期待できると言われています。また、時間が経過している場合には、他の方法(例えば、5日以内であれば子宮内避妊具を挿入する)について、相談して下さい。緊急避妊ピル服用後2時間以内に吐いてしまった場合、医師に相談して下さい。時には追加して服用する必要があります。または子宮内避妊具の使用を検討します。ピル服用後2時間を経過しての嘔吐であればピルの効果について心配はいりません。
緊急避妊の費用
料金表をご参照下さい。 https://www.yuiclinic.com/fee/