漢方薬は、中国(漢)から日本に渡り、その間数千年の年月をかけて、いろいろな体の異常に効果がある生薬(自然の植物や動物、鉱物など)をいくつも組み合わせて作られたものです。
漢方での治療は、誰もがもともと持っている、「病気と闘い治す力(自然治癒力)」を高め、体を整える効果を期待するものです。ひとりひとりの自然治癒力を高めるため、病名で診断することだけでなく、体質や病気の状態によって最適な薬を選び使い分けることができます。当院は専門的な漢方診療は行っていませんが、代替療法のひとつとして漢方薬の処方も行います。
漢方薬は日本では保険診療が可能であり、西洋医学でカバーできなかったり、治療効果が得られない場合にも利用できる治療法です。また、妊娠中や授乳中にも使用可能な薬も多数あり、産科でも利用しやすいです。
漢方薬はもともと煎じ薬でしたが、煎じる必要のないパックに入った顆粒状のエキス製剤や錠剤を当院では処方します。エキス剤は、最先端の技術を用いた近代的な工場で作り出されます。生薬を厳選し、工場生産によりいつでもほぼ一定の品質の製品提供が可能になっています。
エキス剤は、煎じる手間がかからず、持ち運びが便利になり、手軽に飲めるようになりました。もともと煎じ薬をエキス剤として処方していますので、漢方薬を内服する際にはできるだけお湯に溶かして空腹時にお飲みください。粉のまま飲むこともできますが、お湯に溶かして内服した方がより効果的です。お湯に溶かさずに内服して効果を感じなかった人が、同じ薬をお湯に溶かして飲むようにしたところ、症状の改善がみられたというケースもあります。
漢方薬はひとつの症状についてもさまざまな種類のお薬で、効果がある可能性があります。ひとつの薬が効かなかったからといってあきらめずに治療を続けることをお勧めします。