インフルエンザのお薬・予防接種

インフルエンザの予防接種

インフルエンザの予防接種ゆいクリニックのインフルエンザ予防接種は完全予約制です。すべての診療時間内で接種可能ですが、ワクチンがなくなり次第終了となります。希望者はお早めにご連絡ください。スケジュール等について医師にご相談が必要な方は、可能な限り小児科医の担当日にご予約下さい。

インフルエンザワクチンの効果は?

インフルエンザワクチンの予防効果は、はっきり言って高くありません。厚生労働省も以下のような見解を示しています。

  1. インフルエンザワクチンは、「感染」を完全に抑える効果はない
  2. 「発病」を抑える効果が、“一定程度”認められる (ただし、麻しん風しんワクチンのような高い効果はなし)
  3. 最大の効果は、「重症化」の予防

発病を抑える効果が“一定程度”とはどのくらいなのでしょうか? 厚生労働省の見解では、6歳未満の小児を対象とした研究で、「インフルエンザワクチンの有効性は60%」とされています。これは、ワクチンを接種せずに発病した方のうち60%は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、ということだそうです。

元々ワクチンを接種していなくてもインフルエンザにかからない人もたくさんいるので、この結果を良いとするか悪いとするかは微妙なとこですね・・・少なくとも、今のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからないというものではないということです。

「少しでも発病の可能性を抑えるために」インフルエンザの予防接種することはありだと思いますが、それだけで満足してはいけないようです。

いつ頃接種したほうがよいか?

沖縄ではダラダラと小流行が続き、年中インフルエンザの患者を見かけることもありますが、やはり年末年始から2-3月にかけてピークを迎えます。そのため、ワクチン接種を希望する方は、12月中に必要な回数を終了することをオススメしています。13歳以上の方は1回接種で良いのですが、6か月〜13歳未満の方は2回接種が必要です。2回目も年内で終了するようにしましょう。


インフルエンザのお薬 (もし、かかってしまったら)

インフルエンザに、もし、かかってしまったら下記、インフルエンザのお薬の種類のうち①〜④はノイラミターゼ阻害剤というタイプの薬で、A型、B型インフルエンザの両方に効果があるとされています。多くの場合、発症後早期(約48時間以内)に使用しなければ効果はありません

インフルエンザのお薬の種類

現在、日本では抗インフルエンザ薬として、以下の薬剤が使用されています。

  1. 商品名:タミフル等 (経口薬: オセルタミビルリン酸塩)
  2. 商品名:リレンザ (吸入薬: ザナミビル水和物)
  3. 商品名:ラピアクタ (注射薬: ペラミビル水和物)
  4. 商品名:イナビル (吸入薬: ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)
  5. 商品名:ゾフルーザ (経口薬: バロキサビル マルボキシル) *2018年承認の新薬

インフルエンザの検査について

インフルエンザの検査は、本当にインフルエンザにかかっていたとしても、発症早期には陽性にならないことがあります。多くの検査では発症からおよそ12時間を経過していなければ検査の精度が下がるため、すぐに病院を受診しても、「まだ12時間経っていないから」という理由で検査すらしてもらえないことがあります。これは皆さんのなかにも経験された方がいるかもしれません。最近では検査機器の進歩により、早期から診断可能なものも出てきていますが、まだ多くの医療機関では従来の検査キットで対応しているため、上記の「12時間経ってから」検査ということが一般的なのです。

上記①〜④の抗インフルエンザ薬はあくまでも、増殖したウイルスが細胞外へ出てくるのを抑える薬であって、ウイルスそのものを退治してくれる薬ではないのです。

じゃあ、どうやってインフルエンザウイルスをやっつけるのか?

それは、私たちの体が持っている免疫力、つまり自然の治癒力によって直していくのです。もう少し詳しく言うと、私たちの体が作り出す抗体というタンパク分子がウイルスに結合して、それを認識した食細胞という免疫細胞がウイルスそのものを食べて退治してくれるのです。さらに、抗インフルエンザ薬を使用しても、有熱期間が1〜2日程度短くなるだけで、重症化を防ぐわけではありません。

抗インフルエンザ薬の代表格であるタミフルは、全世界の消費量の75%が日本だけで使われているという報告があります。日本は国民皆保険制度であるため、世界一病院に通い、世界一薬が好きな国だと言われていますが、世界一タミフルを消費している国でもあるのです。

外国では、インフルエンザは薬で治す病気ではなく、自然に治る(自分の力で治る)病気と考えられています。もちろん、外国でも持病がある、体力の弱い人などは抗インフルエンザ薬を使用することもあると思われます。

では、上記⑤の新薬、ゾフルーザはどうでしょうか?これは、他の抗インフルエンザ薬とは違い、ウイルスを増殖できなくするタイプの薬です。『新薬』と聞くと、いままでの薬より効果があると期待している方も多いとは思いますが、効果はタミフルと大差がないという報告もあるようです。さらに、費用が高い、まだ未知の副作用のリスクもあるということで、積極的な使用を控える方が良いという意見もあります。また、近年タミフル耐性(効きにくい)のインフルエンザウイルスの出現も報告されていて、今後のために新薬はとっておくべきという意見もあるようです。

日本感染症学会のガイドラインでは、すでに軽快傾向である場合を除いて、インフルエンザのお薬を積極的に使用することを勧めているようですが、持病の有無や全身状態などを慎重に検討して、診察した医師とよく相談することが大切だと思います。

ちなみに、当院は産婦人科ですので、原則として通院中の妊婦さんのインフルエンザに対応しています(受診前からインフルエンザが疑われる場合には、当初から他院の内科受診を勧める場合があります)。当院では、検査陽性など必要と判断されれば、タミフルやラピアクタを投与することもあります。これは妊婦さんが発熱が長引いて体力を消耗し、胎児への影響が出てしまうことを懸念しての対応です。その他、漢方薬で対応する場合もあります。

インフルエンザのお薬って、飲んだら(使ったら)危ないの?

抗インフルエンザ薬(特にタミフル)を飲むと、異常行動を起こすから危ないというお話を聞いたことがあるかもしれません。実際に、タミフル服用後に異常行動(急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロするなど)の報告があり、転落などによる死亡例も報告されています(2009年4月〜2018年8月現在で9件あり)。これが本当に抗インフルエンザ薬の副作用なのか、大変な議論になりました。

厚生労働省の見解では、以下の通りです。

抗インフルエンザウイルス薬の服用と異常行動との因果関係は不明ですが、これまでの調査結果などからは、

  • インフルエンザにかかった時には、抗インフルエンザウイルス薬を服用していない場合でも、同様の異常行動が現れること
  • 服用した抗インフルエンザウイルス薬の種類に関係なく、異常行動が現れること

が報告されています。

以上のことから、インフルエンザにかかった際は、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず、異常行動に対して注意が必要です。

引用:〈厚生労働省ホームページ インフルエンザQ&A〉

実際に私(小児科医)も他院での勤務医時代に、インフルエンザ患者の異常行動(ベッドの上でピョンピョン跳ねる、意味の分からないことを叫びながら部屋中を動き回る、鳥のように手をバタバタさせるなど)に対応したことがあります。その半数以上は、抗インフルエンザ薬服用前の患者さんでした。そのため、私自身は、これらの異常行動は、インフルエンザの病気自体の問題であると考えています。

しかし、タミフルの薬剤構造が、脳内に移行しやすいセロトニン類似構造となっていて、このセロトニン類似構造をもつ物質のなかには、幻覚や異常行動など様々な中枢神経系の異常を来しやすいものがあるため、タミフルなどの抗インフルエンザ薬が同様に異常行動の原因になっているとの報告もあります。

まだまだ厳密に解明されているわけではないので、一概に薬のせいだけにするのも問題だと思いますが、逆にその影響を完全に否定する証拠もないようです。

いずれにせよ、インフルエンザを発症したら、抗インフルエンザ薬の服用にかかわらず注意深い観察が必要だと言うことです。