帝王切開についての説明

帝王切開の説明

診断名: 既往帝王切開  骨盤位  胎児機能不全  児頭骨盤不均衡 微弱陣痛 遷延分娩、子宮内感染、その他

手術の目的必要性:子宮破裂の可能性があるため、逆子でお産のトラブルの可能性が高いため、赤ちゃんの状態が悪く経腟分娩に耐えられないと考えられるため、赤ちゃんが骨盤を通れる大きさでないことが考えられるため、陣痛が弱くお産が長引いているため、 子宮内感染の可能性があるため、その他

術式:

腹式帝王切開術 子宮下部横切開(必要あれば逆T字切開、縦切開)

皮膚切開  縦切開   横切開

子宮切開  横切開   逆T字切開  縦切開

帝王切開について:お臍の下を20cmくらい縦に切るかまたは恥骨の上を横に切ってお腹をあけます。

子宮筋肉を子宮下部で横に切ってあけます。その際、赤ちゃんが出にくい場合には縦に切開を加えて逆T字とする場合があります。

通常子宮下部横切開にするのは次回妊娠時での子宮破裂の可能性がより少ないからです。

帝王切開合併症:

  • 術中出血、 術後出血 通常の帝王切開で輸血が必要になることはまれですが、万が一輸血が必要な大量出血がみられた場合には輸血を行うことは可能ですか。(可・否) 輸血を行う際には同意書を改めて作成します。多量出血があり、緊急輸血が必要な場合には母体搬送を考慮します。
  • 他臓器損傷(膀胱、尿管、腸管、など)  膀胱損傷1.4/1000 尿管損傷0.3/1000

(子宮の周りには、膀胱や尿管、腸管などの臓器があり手術の際にそれらの臓器を傷つける可能性があり、十分注意して手術を行いますが、万が一他臓器を傷つけた場合には後遺症が残らないように修復を行います。クリニックで処置が難しい場合には、専門医に紹介する場合があります。)

  • 感染症、縫合不全、胎児切傷、新生児一過性多呼吸、創部癒合不全、肺水腫、
  • その他  まれに術後腹腔内出血や血腫形成を認め、再開腹をしなければならないこともあります。子宮膿瘍形成などがおこることがあります。感染や縫合不全により子宮摘出が必要になる場合があります
  • 深部静脈血栓症、肺塞栓症※静脈血栓症予防のための対策(弾性ストッキング、エアーマッサージ、抗凝固療法など)

血栓症予防のための体操:ふくらはぎの筋肉を動かす体操がお勧めです。

つま先を伸ばして足先に力を入れる。

つま先をたててかかとに力を入れてふくらはぎの筋肉を伸ばす

妊娠中の航空機旅行の動画の中にふくらはぎの運動の説明あり。

麻酔法:腰椎麻酔、全身麻酔(ケタラール 筋肉注射)

通常腰椎麻酔で手術を行いますが、もし腰椎麻酔が難しい場合には、全身麻酔で手術を行うことがあります。

腰椎麻酔に伴う合併症: 神経損傷、出血、頭痛

腰椎麻酔での術後は、脊椎麻酔後頭痛を避けるために、首だけを強く曲げずに背中全体で起きるようにしてください。

早期接触:お母さんと赤ちゃんの状態が問題なければ、生まれた後に母子早期接触を行います。お父さんの抱っこもお母さんの抱っこが終わった後に、肌と肌をくっつけての抱っこがお勧めです。

早期母子接触と早期父子接触について

帝王切開の早期接触

お父さんの早期接触

【次回の妊娠について】 帝王切開後の経腟分娩では、子宮破裂の危険性が高くなります。(一般的には0.1%)、既往帝王切開妊婦の分娩方法は各施設で異なるのが現状です。次回妊娠時に分娩を希望される施設でよくご相談下さい。なお、当院では、帝王切開後の経腟分娩には基本的には対応していません。※帝王切開後に子宮創部が原因となる不妊症・過長月経・月経困難症(帝王切開瘢痕症候群)が報告されています。帝王切開後に上記症状が出現した場合はご相談ください。帝王切開後の妊娠で子宮創部に妊娠し、大出血などの原因になることが稀にあります(瘢痕部妊娠)、妊娠早期に診断することが大切とされていますので、帝王切開後に妊娠を疑う場合は早い時期に受診してください。

【避妊期間】帝王切開後1年以内に妊娠した場合には、子宮破裂の危険性がさらに高くなるとされており、術後1年間は適切な方法による避妊が必要です。

【避妊手術】帝王切開術が受けられる回数に上限の決まりはありませんが、3回くらいが限度と一般的にいわれています。ご夫婦の希望があれば帝王切開の際に避妊手術(卵管結紮術)を行うことができます。

※卵管結紮術は卵巣機能には影響しません。

帝王切開の説明https://youtu.be/LWPyEPfHkCA

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。