生まれたての赤ちゃんの思いを想う

生まれたての赤ちゃんの思いを想う:笠松 堅實 (著)

新生児科医 北島博之氏推薦「幸せなお産とそれに続く母乳育児が世界を救う」、母と子の「出会い」から始まる関係作りを支援し、大切にすることが、その後の育児や人生の基盤となる……“フリースタイル出産” “対面カンガルー”などを見い出した産婦人科医が、50年以上にわたる豊富な現場経験と知識を語る。

産婦人科医大先輩の笠松堅實先生

産婦人科医大先輩の笠松堅實先生が、長年の経験を一冊の本にまとめられました。先生は、開業してからの経験の中で、フリースタイル出産を始めて、母子早期接触を始めて、母子のきずな作りとして母乳育児を大切にされていきました。お産や子育ては、タイパやコスパを追求するものではなく、お産と子育てはつながっていて、自然なお産と子育ては絆を作るという先生の実感に共感します。

産みの苦しみ

産みの苦しみ=陣痛は、必要なのか。女が母に、人が人たらしめるには、「そうあるべき」なのか、と問いかけています。笠松先生は、苦しみや痛みが関係を作る。手間暇かけるということ(痛みや苦しみがあること)で、関係・きずなが作られるとつたえています。無痛分娩は現代社会の医療の進歩と考えられる中で、お産を医療に移行することは、母と子の絆に問題が起こってしまうように思えてなりません。

産みの痛み

  • あなたの内から出てきた 痛み は
  • 自然な 痛み
  • 外からやってきた 痛み ほど
  • 痛く ない
  • あなたの内から出た 痛み は
  • あなたの一部
  • あなたの新しい力
  • 最もあなたらしい

母子早期接触で赤ちゃんとやりとり

笠松先生は、母子早期接触(生まれたての赤ちゃんをお母さんに抱っこしてもらう)の中で、お母さんや家族に声かけをしながら、赤ちゃんにも声かけをする中で、赤ちゃんが先生の声かけに大きく目を見開いて反応してくれることを発見しました。そこから、赤ちゃんに声かけをしながら観察をすると、赤ちゃんがほとんど反応してくれるという事を発見されたのでした。

医療の保険化

出産が医療保険でカバーされるような議論がされています。医療保険で出産が経済的なサポートを受けるのは一見よいようにみえて、出産への医療介入が増える心配があります。医療保険では、医療的な処置をすればするほど、医療機関にお金が支払われるので、医療介入が増えてしまうのではないかという心配の声もあります。韓国では、帝王切開率が5割を超えているのですが、帝王切開による出産は医療保険でカバーされるため、経済的に負担が少なくなると言うことで帝王切開を選択する妊婦さんが多いのだそうです。「お産・子育ては医療ではない」、「お産・子育ては、タイパやコスパではない」ということ、「お産と子育てはつながっている」、「自然なお産と子育ては絆を作る」

お産の立ち会い

分娩台でのお産と、分娩室の一角を改装したフリースタイル出産ができる「バースコーナー」でのお産では、お産の立ち会いをされる家族のスタイルも違うという事を紹介されています。分娩台だと、お父さんが子どもを抱っこしていないといけない状況が多いなか、お母さんと家族の距離もある。でも、お母さんと同じ高さで座っていられるコーナーだと、家族が落ち着いて一緒にいられて立ち会いができる。そんな、家族のお産の立ち会いを大切にされていて、お産は家族のものだと見てとれる。そして、分娩台では無く、平面のバースコーナーで、フリースタイル出産もよりやりやすくなったそうです。

母乳育児支援

笠松先生は母乳育児を大切にされています。最初は、お母さん達をはげましながらの母乳育児支援から、いかに適切に授乳が出来るかをサポートするようになり、その後、お母さんと赤ちゃんの母子関係作りをサポートするようになりました。朝のカンファレンスで個別に課題や対策を検討されていると言うことです。

開業生活40年

笠松先生が経験された、開業生活の様々なエッセンスと、先生がたどり着いた先について学べました。私は開業今年14年目、まだまだこれからですが、80歳近くなってもお産をつづけている笠松先生を見習って、今後も頑張って行きたいと思います。

「赤ちゃんの思いを想う」

  • 赤ちゃんが 生まれた時 起きている時
  • 抱っこして 真正面から
  • 赤ちゃんの 顔を見て 目を見て
  • 赤ちゃんの思いを感じ取り
  • 赤ちゃんの思いを想い
  • 声掛けする 話し掛ける 語り掛ける

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。