目の病気は生活習慣病!生活習慣で予防・改善できる
私たちの生活の中で「目の病気」はとても身近な存在です。代表的なものとして、白内障と緑内障があります。これらは加齢とともに増える疾患であり、「年齢のせいだから仕方がない」と思われがちですが、実は日々の生活習慣の見直しでその進行を遅らせたり、症状を軽くすることができることがわかってきています。
白内障とは
白内障は、目の中の「水晶体」というレンズが濁る病気です。主な原因は活性酸素による酸化ストレスで、水晶体のタンパク質が変性して濁ってしまいます。加齢による自然な変化のほか、紫外線の影響、喫煙、糖尿病、ストレス、栄養不足なども関係しています。初期のうちは視界のかすみやまぶしさを感じる程度ですが、進行すると視力が低下して日常生活に支障をきたします。
緑内障とは
緑内障は、視神経が障害されて視野が欠けていく病気です。日本では失明原因の第1位とされ、40歳以上の20人に1人が発症しているといわれています。眼圧が高くなることが一因とされますが、血流の低下やストレス、自律神経の乱れが関与しているともいわれています。
白内障・緑内障の一般的な治療
白内障の一般的な治療は、進行した場合に濁った水晶体を取り除き、人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入する手術が行われます。白内障はいったん病気が起こってしまったら、手術でしか症状は良くならない病気だと考えられています。けれども、白内障の手術を受けると、将来的に加齢黄斑変性という視力の中心部分が見えにくくなる病気で将来的な失明のリスクを負うことになります。
緑内障の一般的な治療は、点眼薬やレーザー治療、手術によって眼圧を下げることを目的としています。しかし、眼圧が正常でも進行する「正常眼圧緑内障」も多く、単に眼圧を下げるだけでは防げない場合もあります。通常の治療ではうまくいっても進行を抑える程度にしかならず、回復が難しいとされています。
目の健康を守る生活習慣
眼科医の山口康三先生は、著書および講演の中で、目は全身を映し出す鏡でもあり、全身の血管の状態を反映している。目の血管に異常があれば、全身の血管にも異常があり、それは生活習慣に問題があると強調されています。先生によると、白内障や緑内障などの進行性の目の病気は、全身を不健康なまま放置して、薬や手術で目だけを治療しても、根本からはよくならない、生活習慣を整えることで改善が見られる例が多く、実際に視野や視力の改善が確認された患者さんの報告もあるといいます。
(1)「少食」は目の病気を治す最良の薬:食生活の改善
食べ過ぎは血液をドロドロにして、視神経にダメージをあたえます。生活改善の第一歩は少食を心がけることです。間食をやめる。食事は腹八分目にする。出来れば朝食をとらない。食事はバランス良く、主食5,副食5(野菜3、動物性蛋白1、植物性蛋白1)、主食は玄米や分づき米にする。動物性蛋白は肉よりも魚を選びましょう。肉の脂肪は血液をドロドロにして血流を悪くします。できるだけ、砂糖、小麦、乳製品、食品添加物は避けましょう。
(2)睡眠と休息
睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、目の血流を悪化させます。質のよい睡眠をとることが、緑内障の進行を抑えるうえでとても重要です。良い睡眠をとるために早く寝ましょう。夜9時には布団に入って寝るのが理想です。夜の10時から夜中2時までぐっすりと眠りましょう。睡眠時無呼吸がおこると緑内障のリスクが高まることが分かっています。いびきがある場合には、口閉じテープがお勧めです。(睡眠、ゆいクリニック、口閉じテープ、ゆいクリニックで検索)
(3)適度な運動
生活改善の中でも食事と並んで重要なのが運動です。血液循環をよくすることが目の病気の改善に非常に重要です。ウォーキングは、全身の血流を促進し、目への酸素供給を高めます。ストレス軽減にも効果的で、結果的に視神経への負担を軽くします。よく歩く人は症状が改善しているそうです。山口康三先生のお勧めは一日1万3千歩歩くことです。これだけ歩くと効果が実感できます。ただし、歩き慣れていない人は少ない歩数でもよいので少しずつでも良いので継続していきましょう。
(4)ストレス対策
目はストレスの影響をストレートに受けます。心の持ち方を見直すことも大切です。慢性的なストレスは血流を悪化させます。自分の心の状態をしっかりみつめましょう。ストレスを出来るだけなくすようにすることと、希望と生きがい(自分が心から楽しめること)をもって行くことは大切です。ストレスで気持ちが沈みそうになったら、そこから離れて楽しいことに打ち込みましょう。身体をうごかすことはストレス解消にとても良いです。
※棺桶リストをつくる:自分の死ぬときの場面を想像して、その時にあれをしておけば良かった、あそこへ行っておけばよかった、という事が無いように死ぬまでにしたいことのリストを書き出してみましょう。そのリストの中からやりたいものの順にこなしていくのです。
(5)紫外線対策
紫外線は白内障に悪影響を及ぼします。外出時にはUVカットのサングラスや帽子を利用して、目への紫外線ダメージを防ぎましょう。紫外線対策は、加齢黄斑変性の予防にも有効です。
(6)液晶画面を見すぎない
スマートフォンやパソコンの画面を長時間見ると、眼精疲労やドライアイを引き起こし、目の血流が低下します。1時間に1度は画面から目を離して遠くを見たり、まばたきを意識することで目を休ませることが大切です。
生活改善で緑内障や白内障が良くなった症例
山口先生の研究では、生活習慣を見直すことで緑内障の視野が実際に改善した症例を報告されています。たとえば、食事・睡眠・運動・ストレスケアの4つを整えた患者では、約半年後に視野検査で欠損部の改善が見られたといいます。これは、血流改善が視神経の機能回復に寄与した結果と考えられています。白内障も一般的には手術でしか改善が期待できないと考えられています。ただし、手術をすることで、加齢黄斑変性のリスクが高まってしまうため、安易に手術に踏み切らないようにして、まずは生活習慣改善を試みることがお勧めです。
山口康三先生について
山口 康三(やまぐちこうぞう):神奈川県出身。1981年、自治医科大学医学部卒業。
横浜市立市民病院、神奈川県立厚木病院、神奈川県立藤野診療所勤務を経て、1991年に回生眼科を開院。日本眼科学会認定専門医、日本東洋医学会専門医、日本綜合医学会理事長、血液循環療法協会顧問を務める。
食事や運動、睡眠などを綜合的に対処する治療法「目の綜合医学」考案し、確立。
以来、3000人以上の治療を行い、成果を上げている。また、この治療法を医療従事者や一般の人まで、全国に広める活動も行っている。山口康三先生は、長年にわたり、生活習慣改善の指導を行ってきた眼科医です。生活習慣を整えることで眼病の予防や改善が可能であることを数多くの症例から示されています。先生は「病気だけを治そうとするのではなく、血流を整えることで身体全体が治っていく」と語られています。
山口康三先生著書紹介
- 緑内障・黄斑変性症・糖尿病網膜症を自分で治す方法 3000人の「失明の不安」が解消! (現代書林)
- 視力回復博士 絶対おすすめ! [山口式]自力で白内障・緑内障・黄斑変性を治す本(主婦の友社)
- 緑内障・白内障は血流の改善でよくなる 黄斑変性・糖尿病網膜症・ドライアイにも効果(徳間書店)
まとめ
白内障や緑内障は、年齢とともに起こる病気ですが、決して「放っておくしかない」ものではありません。人間には「自然治癒力」が備わっています。自然治癒力は自然に沿った生活習慣で発揮されて、自然の摂理から遠ざかるほど病気になります。朝日を浴びると目が覚め、夜になると眠くなるのは、体内時計が自然のリズムに合わせて働いているからです。また、体は疲れたら休もうとし、寒いときには体温を上げようとします。身体の声に耳を傾けて、身体をいたわってあげることはとても大切です。
睡眠・食生活・運動・紫外線対策・ストレス管理という日々の積み重ねが、目の血流を整え、進行を防ぐ最大の鍵になります。
生活習慣を見直すことで、目だけでなく全身の健康を取り戻すことができるのです。目の病気で悩んでいる方は、是非自分の生活を見直ししてみましょう。


