あなたの不調、もしかしたら「遺伝子の汚れ」が原因かもしれません

「原因不明の不調」は遺伝子の“汚れ”がカギ?Dr. Ben Lynchが提唱する「Dirty Genes(汚れた遺伝子)」という新しい健康観

健康情報はあふれているのに、「言われた通りにしても良くならない」「検査では異常なしなのに不調が続く」「昨日は平気だったものが今日はつらい」──そんな“説明のつかない不調”に悩む人は年々増えています。

この背景にある新しい視点として注目されているのが、自然療法医 Dr. Ben Lynch(ベン・リンチ) が提唱する 「Dirty Genes(汚れた遺伝子)」 という考え方です。彼の著書『Dirty Genes』は世界的ベストセラーとなり、多くの人の健康観を大きく変えました。

遺伝子は「壊れている」のではなく「汚れている」

多くの人は「遺伝子=変えられないもの」と思っています。しかし実際には、遺伝子はスイッチのような存在です。そのスイッチは、食事、栄養状態、ストレス、睡眠、化学物質や環境といった日々の選択によって、オンにもオフにもなります。問題は「遺伝子が悪い」ことではなく、遺伝子がうまく働けない環境に置かれていることなのです。

ベンリンチ先生は、この状態を「汚れた遺伝子(Dirty Genes)」と呼んでいます。多くの人は「遺伝だから仕方ない」「体質は変えられない」と思いがちですが、Dr. Lynchはこう述べています。

「遺伝子は壊れているのではない。ただ“汚れている”だけだ」

ここでいう“汚れ”とは、慢性的なストレス、栄養不足、睡眠の質の低下、有害物質、生活習慣の乱れなどによって、遺伝子が本来の働きを発揮できなくなっている状態を指します。つまり今の不調は、生まれつきの体質ではなく、遺伝子のコンディション不良かもしれないのです。

健康を大きく左右する「7つの重要な遺伝子」

Dr. Lynchは、特に体調に大きな影響を与える7つの主要遺伝子を紹介しています。その代表が MTHFR遺伝子 で、解毒、細胞修復、神経伝達物質の生成、ホルモンバランスなど、生命維持に欠かせない役割を担っています。この遺伝子の働きが弱まると、慢性的な疲労、集中力低下、気分の浮き沈み、肌トラブル、頭がぼんやりする「ブレインフォグ」など、日常的で説明しにくい不調が現れやすくなります。他にもヒスタミン代謝、炎症反応、ストレス耐性、抗酸化力に関わる遺伝子が連動して、私たちの体調を左右しています。

「体に良いこと」が、あなたに合わない理由

運動、サプリメント、発酵食品、スーパーフード、緑茶など、「健康に良い」とされるものがすべての人に合うわけではありません。実際、「緑茶で不安になる」「ビタミンで頭痛が悪化する」「良かれと思って続けていた習慣が不調の原因だった」というケースもあります。

これは、その人の遺伝子が特定の成分を処理する余力を一時的に失っている状態と考えられます。つまり、健康法の合う・合わないは、遺伝子の汚れ具合によって変わるのです。

サプリメントが逆効果になることもある

健康意識が高い人ほど注意したいのがサプリメントの摂りすぎです。Dr. Lynchは「体の準備が整っていない状態でのサプリは、遺伝子をさらに疲れさせることがある」と警告しています。

たとえば、体が“アクセルを踏みすぎている”状態で葉酸やビタミンB群を追加すると、不眠、動悸、興奮、情緒不安定などが起こることがあります。これは悪い反応ではなく、遺伝子が出している重要なサインと捉えるべきだとされています。

健康は「固定されたゴール」ではない

体の状態は、ストレス、睡眠、天候、食事、ホルモンバランスによって日々変化します。そのため「昨日は合っていた健康法が今日は合わない」ということは珍しくありません。大切なのは流行を追いかけることではなく、自分の体の反応を観察することです。

頭痛、だるさ、肌荒れ、イライラ、眠気──それらはすべて、遺伝子からのフィードバックかもしれません。

『Dirty Genes』は「体の取扱説明書」

『Dirty Genes』は、7つの重要遺伝子について、その働き、汚れやすい原因、整え方を具体的に解説した一冊です。生活習慣を少しずつ整える実践ステップも分かりやすく、一般の方でも読みやすい内容になっています。

日本語訳は現在ほとんど流通していませんが、Amazon Kindleで英語版を購入し、自動翻訳で読むことも可能です。※筆者(島袋)自身も、この本をきっかけにOURAリングを知り、睡眠改善につながりました。

まとめ:遺伝子は「あなたの選択」で変えられる

「遺伝だから仕方ない」とあきらめる必要はありません。Dr. Lynchが伝えているのは、遺伝子の働きは日々の小さな選択で変えられるという希望です。早く寝る、深呼吸する、加工食品を控える、ストレスを減らす──それだけでも遺伝子の汚れは少しずつ落ち、体は本来の力を取り戻していきます。遺伝子検査を行わなくても、なにかしらの不調があれば遺伝子を整えてあげる必要があると思うとよいです。

症状は、あなたを困らせる敵ではありません。それは「今のやり方、少しズレていますよ」という体からのメッセージです。その意味がわかれば、体との付き合い方は驚くほど変わります。

「私の遺伝子は、今どんなサインを出しているのだろう?」その問いかけが、健康を取り戻す第一歩になるかもしれません。

※本記事は情報提供を目的としたもので、医療行為・診断・治療を代替するものではありません。体調不良が続く場合は医療機関にご相談ください。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。