血糖・ダイエット・アンチエイジングに役立つメトホルミン~ 副作用を抑えて上手に続ける方法

メトホルミンをのみたいけれど、副作用が心配な方へ

「血糖を下げるのに良い薬と聞いたけれど、下痢や腹痛がつらくてやめてしまった」
「ダイエットや健康のために飲みたいけれど、おなかの副作用が不安」

そんな方へ、メトホルミンの良い点と、実際に副作用を抑えながら使うための工夫を分かりやすくまとめました。


メトホルミンは、糖尿病・肥満・アンチエイジングに役立つお薬です

メトホルミンは、糖尿病治療薬として世界中で長く使われている、信頼性の高いお薬です。

  • 血糖を下げる
  • 体重が増えにくい(ダイエット効果)
  • 運動に近い代謝改善作用
  • 低血糖を起こしにくい

細胞の中の「代謝スイッチ(AMPK)」を入れる作用があり、下記で詳しく説明しています。

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それでも気になる「おなかの副作用」

メトホルミンでは、

  • 下痢・軟便
  • おなかの張り
  • 腹痛や不快感

といった消化器症状が出ることがあります。

これは薬が悪いというより、腸が急な変化にびっくりしている状態と考えられることが多いです。


実際の内服開始のしかた(副作用を抑えるための工夫)

① 最初は「とても少ない量」から始めます

実際の診療では、以下のように始めることが多くあります。

  • 最初は 250mg を1日1回(朝食後または夕食後)
  • 胃腸症状が出た場合は、いったん中止・休薬

無理に続けず、いったん止めることも大切な対応です。

② 腸内環境を整えながら再開・継続

下痢などが出やすい方では、腸内環境を整えることで症状が落ち着きやすくなります。

  • ビフィズス菌などのプロバイオティクス(整腸剤)をとる。
  • 食物繊維をとる。
  • 十分な水分摂取

これらを併用しながら進めることがあります。

腸内環境を良くして、健康でいるためにするべきこと。

③ 問題がなければ、ゆっくり増量します

副作用が落ち着いてきたら、体の様子を見ながら段階的に増量します。

  • 250mg を朝・夕(1日2回)
  • 250mg を朝・昼・夕(1日3回)
  • その後、500mg を朝・夕などへ

副作用がなければ、500mgを1日2~3回が、一般的な服用量の目安です。

抗加齢(アンチエイジング)や体調管理目的であれば、1日500~1000mg程度で十分なことも多くあります。

耐糖能異常や糖尿病がある場合は、医師の管理のもとで、さらに増量することもあります。


「以前ダメだった」=「もう使えない」ではありません

過去にメトホルミンでおなかの症状が出た方でも、

  • 低用量から再スタートする
  • 増量をゆっくり行う
  • 腸内環境を整えながら使う

ことで、無理なく続けられるようになる方は少なくありません


ひとりで我慢せず、ぜひ相談してください

メトホルミンは、続けられれば血糖・体重・代謝・将来の健康を支えてくれるお薬です。

副作用を我慢する必要はありません。
あなたの体に合った使い方を、一緒に考えていきましょう。


医学的参考文献

  • Metformin alters gut microbiota composition and reduces intestinal adverse effects by modulating Bifidobacterium bifidum G9-1
    Bioscience of Microbiota, Food and Health 3,2020
  • Understanding the glucoregulatory mechanisms of metformin in type 2 diabetes mellitus
    Nature Reviews Endocrinology
  • The mechanisms of action of metformin
    Diabetologia

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。