Q:なぜ、深部静脈血栓症(DVT)よりも、表在性血栓のほうが多いのですか?
今回は、ぐしかわ看護学校の学生さんからいただいた質問にお答えします。
A:結論から言うと、表在静脈のほうが血栓ができやすい条件がそろっているからです。
血栓(血のかたまり)ができる理由は、主に「血流が滞る」「血管が傷つく」「血液が固まりやすくなる」という3つが関係します。
まず表在静脈は、皮膚のすぐ下を走っている血管です。そのため、圧迫や外力の影響を受けやすく、血管が刺激されやすいという特徴があります。また、下肢静脈瘤などで血管が広がり、血液の流れがゆっくりになりやすいことも血栓ができやすい理由です。
一方、深部静脈は筋肉の中を通っており、歩いたり体を動かしたりすることで、筋肉がポンプの役割をして血液をしっかり心臓へ戻してくれます。そのため、日常生活を普通に送っている人では、血液が滞りにくい構造になっています。
さらに、表在性血栓は軽い痛みやしこり、赤みなど自覚症状が出やすく、見つかりやすいのに対し、深部静脈血栓症は症状が乏しく、気づかれにくいこともあります。この点も「表在性血栓のほうが多い」と感じられる理由の一つです。
ただし、深部静脈血栓症は頻度は低くても、肺塞栓症など命に関わる合併症を起こす可能性があるため、注意が必要です。どちらの血栓も、症状やリスクに応じた正しい評価と対応が大切です。
ここで、産婦人科領域として大切なポイントを補足します。産褥期は血栓症が起こりやすい時期であり、特に帝王切開術後の産後早期には注意が必要です。術後に安静期間が長くなると、下肢の血流が滞りやすくなり、深部静脈血栓症が形成されるリスクが高まります。そのため、産後の早期離床や下肢運動、必要に応じた予防策が重要となります。看護学生の皆さんには、「動けない状況」と「血栓リスク」が、深部静脈血栓症と強く結びついていることを、ぜひ臨床の場でも意識してほしいと思います。


