加熱式・電子タバコは本当に安全? 全国禁煙アドバイザー育成講習会(沖縄)で学んだ最新の禁煙支援

第311回 全国禁煙アドバイザー育成講習会(沖縄)参加報告

2026年2月8日(日)、第311回全国禁煙アドバイザー育成講習会(沖縄)が開催され、医師・薬剤師・医療関係者を対象に、最新の禁煙支援に関する知見が共有されました。本コラムでは、3つの講演内容を中心に概要を報告します。

① 禁煙支援の基礎知識 ―禁煙外来における禁煙支援の実際―
(那覇ゆい病院 玉城 仁 先生)

本講演では、喫煙が「嗜好」ではなく「ニコチン依存症という病気」であることが強調され、受動喫煙を含む健康被害について解説がありました。禁煙支援においては、患者さんの心理に寄り添った声掛けが重要であり、「ストレス解消にタバコが必要」という誤解を丁寧に解くことが動機づけにつながると述べられました。

禁煙外来での実際の治療として、ニコチンパッチとチャンピックスの使い分け、吐き気などの副作用への対処法、保険診療での治療費(3か月で約1万3千円〜2万6千円)が紹介されました。また、治療アプリ「CureApp」を併用することで禁煙成功率が約10%向上することも示され、薬物療法と行動支援の組み合わせが成功の鍵であるとまとめられました。

② 薬剤師の行う禁煙支援 第2報
―禁煙を成功させる効果的な声掛けについて―
(沖縄県薬剤師会/ヴァインドラッグいしみね薬局 盛本直也 先生)

沖縄県薬剤師会による禁煙支援の取り組みが紹介され、企業健保と連携し、薬局でニコチンパッチを2回無料提供する事業が報告されました。県内31薬局(離島含む)が参加し、多くの利用者が生活習慣相談も併せて受けていたことが明らかになりました。

成功のポイントとして、「禁煙を決意した理由を記録する」「禁煙サポート手帳で1日1コメントを続ける」「電話やショートメールによる継続フォロー」が有効であると説明されました。薬剤師の声掛けは、公衆衛生的視点からのアプローチが高く評価されており、今後は妊産婦や女性喫煙者への支援、地域全体で支えるネットワーク構築が課題として挙げられました。

③ 再流通チャンピックスを使いこなそう
―加熱式タバコ・電子タバコの最新情報をふくめて―
(京都大学大学院医学研究科 高橋裕子 先生)

禁煙教育の重要性について、学校教育による喫煙率低下の具体的データが示され、若年期からの介入が将来の喫煙防止につながることが強調されました。ニコチン置換療法では、ニコチンパッチの確実な効果や使用のコツが紹介され、チャンピックス再流通後の副作用対応や再チャレンジの重要性についても解説されました。

また、加熱式タバコや電子タバコについては「安全ではない」という明確なメッセージが示され、有害物質、受動喫煙、妊婦や子どもへの影響、電子タバコによる肺障害など、最新のエビデンスが共有されました。特に「子どもには、加熱式・電子タバコもダメと明言すること」が最重要であると強調されました。

そのほか学んだこと

禁煙教育の効果

  • 奈良県の事例:小6・中1への禁煙教育で喫煙率が28位→1位に(3年で5%減少)
  • 神奈川市の追跡調査:小学校時代の禁煙教育が20歳時の喫煙率を低下させる
  • 喫煙開始年齢:22歳までに禁煙者にならなければ、その後も禁煙者になりにくい

ニコチン置換療法(NRT)

  • ニコチンパッチ:確実に効く、100%成功率の症例多数(手術前の重症患者など)
  • 使用上のコツ:
    • 気分が悪くなったらすぐ剥がす
    • 手で温めてマッサージし吸収を良くする
    • 朝起きて何分で吸いたくなるかで依存度を判定

チャンピックス再発売

  • 副作用への対応:量を減らして継続可能
  • 車の運転:医師が確認すれば処方可能(責任は医師にある)
  • 禁煙失敗時の対応:すぐに再チャレンジが最も成功率が高い

加熱式タバコの真実

  • 健康リスク:
    • WHOも「究極は禁煙」と明言
    • 有害物質は減っても病気のリスクは大幅には減らない
    • 肺がん、心臓病のリスクは依然高い
    • コロナワクチン抗体価が低下
    • 妊婦が使用すると子供のアレルギー増加
  • 受動喫煙:加熱式でも15分以上有害物質が残留

電子タバコの危険性

  • ニコチン入りリキッドは日本では違法だが半数で検出
  • グリセリンや香料も加熱すると有害物質に変化
  • VAPE関連肺損傷(EVALI)で死亡例も
  • 大麻リキッド(THC)の混入問題
  • シーシャ:1時間で100~200本分のニコチン摂取

最重要メッセージ

  1. 子どもへの教育:電子タバコ・加熱式タバコもダメと明言する
  2. 家族への声掛け:薬局で禁煙薬があることを伝える
  3. 高齢者でも禁煙のメリット大:75歳で禁煙しても半年寿命が延びる

全体のまとめ

禁煙支援には医療者と薬剤師の連携が大切であり、ニコチン依存症は病気という認識のもと、薬物療法(ニコチンパッチ、チャンピックス)と心理的サポート(動機づけ、継続支援)を組み合わせることが成功の鍵です。また、加熱式タバコや電子タバコは「安全ではない」という正しい情報を広めることが今後の重要な課題となっています。

その他トピックス

禁煙治療において、ニコチンガムとニコチンパッチの併用は推奨されている。ニコチンの量を効果的に使って、禁煙を達成する。ニコチンパッチのマッサージや温めることで、ニコチンが体内に供給されて、たばこへの渇望が減りやすい。

また、ニコチンパッチで気分不要が起こった場合には、ニコチンパッチの減量が必要である。

チャンピックスで禁煙した場合には、COチェッカー、ニコチン依存症治療アプリが保険診療で利用できる。禁煙外来のトータル自己負担額薬2万円に加えて、約8000円の自己負担額が必要になるが、細かいサポートがうけられるため、禁煙成功のためにも有用な手段となる。

チャンピックスで副作用の吐き気が起こるなら薬は減量する。

奈良市医師会に禁煙治療についてや、加熱式たばこの有害性についてなどの無料動画が公開されており、参考になる。

禁煙開始後の突発的な喫煙欲求への対処方法のアドバイスや禁煙グッズの利用の紹介は行うほうが良い。

禁煙開始後は、禁煙してよかったことを見つけてもらうために、聞き取りを行う。

チャンピックスでは、運転は行わないように注意されているが、これは日本だけで、海外ではこのような注意喚起は行われていない。ただし、運転は行わないようにという注意喚起は添付文書にかかれている以上は必要である。

喫煙後45分間は、有害物質が呼気中に排出されるため、受動喫煙防止の説明が必要。

まとめ

本講習会を通じて、禁煙支援は医師・薬剤師・地域が連携し、薬物療法と心理的サポートを組み合わせることで成功率が高まることを再確認しました。また、加熱式タバコや電子タバコに対する正しい情報提供が、今後の禁煙支援における重要な役割であると感じました。

講師の高橋先生たちと一緒に記念撮影しました。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。