子どもにスマホを見せないで!

私の妊婦クラスでは早期接触と母乳育児に加えて、子どもとの絆作りについてやメディアとのつきあい方について紹介しています。先日の妊婦クラスでどうして子どもにテレビやスマートフォンの動画を見せることが良くないのかと質問がありました。どうしてテレビ・ビデオ・スマホが良くないのか。

小児科医会からの提言

  1.  2 歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。
  2. 授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴は止めましょう。
  3. すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1 日 2 時間までを目安と考えます。テレビゲームは1日 30 分までを目安と考えます。
  4. 子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パーソナルコンピューターを置かないようにしま
    しょう。
  5. 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールを作りましょう。

テレビ・ビデオ・ゲーム・スマホは一方的な情報

テレビ・ビデオ・ゲーム・スマホは、コミュニケーション能力を発達させるべき子どもの発達を邪魔してしまいます。また、テレビ・ビデオ・ゲーム・スマホにまかせる育児は、親と子どもが顔を会わせる時間を減少させ、子どもの言語や感性の発達を邪魔する危険があります。乳幼児期には、親子共々テレビ画面から離れてお話ししたり、絵本を読んだり、身体遊びを楽しむ時間が大切です。テレビ・ビデオ・ゲーム・スマホは、笑顔が少ない、視線があわない、言葉が乏しいなど、対人関係の発達に問題がでてくる危険があります。

食事中のテレビ・ビデオ視聴は止めましょう

食卓は、家族の大切な時間を過ごすところです。お顔をあわせて、お話しを楽しみましょう。家族と一緒にコミュニケーションをとりながら食事を楽しむことは子どもの発達のためにとても大切です。

メディアは非現実的体験

メディア漬けの生活は、様々な発達段階で子どもに悪影響を与えます。幼児期では現実と非現実との区別は困難です。テレビ・ビデオ画面上の非現実的な暴力的で高速な映像は子どもたちの脳に衝撃を与えて、子どもの無意識の脳に「この世は恐ろしいところ」とか「やられる前にやれ」というメッセージを与える危険があります。さらに、幼児期の非現実体験が過ぎると現実体験が絶対的に不足します。結果として、幼い脳(こころ)のまま、身体だけが大きくなるということにもなりかねません。

スカイプはOK

離れた家族とスカイプなどのテレビ電話のようなツールを使って会話をするのは2歳未満の子どもでも可能です。これは一方的なツールではないので、小さい子どもでも大きな悪影響はないと言われています。

ノーメディアデーの取り組み

ノーメディアデーとはテレビは見ない、パソコン・タブレット・スマホは電源を切るか触らない、電子ゲームはしないなど、電子デバイスを使わないで過ごす日をつくってみる事です。なかなか、テレビをつけないということは慣れないと難しいかもしれませんが、このような挑戦をすることで、いかに日常でメディアにさらされているのか自覚するきっかけにもなります。妊娠中の方は一人の時にもテレビをつけずに過ごすようにしてみる、または家族みんなで一日中テレビやビデオ、ゲーム、その他動画をみないで過ごす日を作ってみるなど、メディアから離れるという試みをしてみることをおすすめします。実際に家族でノーメディアに取り組んでみたら、家族の会話が増えた、一緒に料理をした、テレビをみない時間に部屋の片付けをしてみたなど、コミュニケーションが増えたなどの感想もたくさん見られました。テレビを普段からつけている場合にはテレビがついていないことに違和感を感じるかもしれませんが、是非テレビは普段ついていないことが当たり前の生活を目指してみて下さい。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。