妊娠中の航空機旅行

妊婦さんに、「いついつ旅行の予定があるのですが行っても大丈夫でしょうか?」ときかれることが多いです。逆に沖縄に旅行にくる妊婦さんも多く、たくさんの妊婦さんが訪れますが、その中で何パーセントかは表せませんが、わずかに大きなトラブルが起こることもあります。飛行機に乗ったから、問題が起こるということはほとんど無いですが、それでもトラブルがおこることはわずかですがあります。特に心配なのは、旅行先で早産や切迫早産などのトラブルで入院が必要になることなどです。可能性は低いですが、起こってしまうとかなり大変です。
少し前に、台湾から旅行にきた女性が、沖縄で早産してしまい、旅行保険は分娩をカバーしていなかったため、赤ちゃんの高額な医療費に困ってしまったという事があったようです。幸い、寄付が集まって治療費も払うことができたようですが、何ヶ月も沖縄に滞在して、赤ちゃんが退院するまで付き添わないといけなかったので、それもかなり負担だったとは思います。赤ちゃんは無事に退院できたようで、本当に良かったのですが、そんな事例があったと新聞で紹介されていました。

又、航空会社によって、妊婦さんの飛行機搭乗に関するルールは異なるので、利用する航空会社のきまりを事前に調べておく必要があります。航空会社によって、妊娠中の飛行機の搭乗に際して診断書が必要になる妊娠週数が異なります。又、国内線か国際線かでも異なります。
以前、空港から電話がかかってきて、今すぐ飛行機に乗りたいのだけれど、診断書がないと乗れないとのことで、空港に診断書をファックスして欲しいという連絡が妊婦さんから来たことがありました。幸い診療所のあいている時間帯ですぐに対応で来たのですが、旅行に出かける場合には、妊娠中は特に準備が必要です。

旅行に出かける場合には少ないながらも、妊娠に伴ったトラブルをある程度覚悟して出かける必要はあるかと思います。妊婦健診で明らかな異常がなくても、急に妊娠に伴って体調の変化が起こることは、妊娠していないときよりも可能性が高まります。

又、妊娠中は血液が固まりやすく、血栓症のリスクが高いので、飛行機に乗っている間にじっとしていて血栓ができてしまうというトラブルが起こらないように、積極的にストレッチやベルト着用サインが消えたら、少し歩き回るなどすることがお勧めです。
特に血栓症予防にはふくらはぎの筋肉をうごかすことが大切です。
座ったままで簡単にできるふくらはぎのストレッチは、下記です。

つま先を伸ばして足先に力を入れる。

つま先をたててかかとに力を入れてふくらはぎの筋肉を伸ばす

座ったまま、つま先を伸ばしたり立てたりします。
シンプルで効果大なのでおすすめです。

https://akanbo-media.jp/posts/161 私がコメントした妊娠中の旅行に関する記事です。

動画での説明です。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。