子宮がん検診でのHPV検査併用の利点

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国立がん研究センターは科学的根拠に基づくわが国の子宮頸がん検診を提言する「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」を出しています。2020年に更新版が出されました。https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0729/index.html

こちらのガイドラインの内容を引用しつつ、子宮がん検診のおすすめをします。

HPVについて

HPVとはヒト・パピローマウイルスのことで、性交渉などによってほとんどの女性が感染します。皮膚や粘膜に「いぼ」を形成するごくありふれたウイルスですが、その中でも癌を引き起こす可能性のあるタイプのウイルスが子宮粘膜に継続感染すると子宮頸がんが発症するといわれています。また、このウイルスは100種類以上のタイプが存在することが分かっています。
子宮頸がんのおよそ98%程度がHPVの感染によるものといわれています。

子宮頸がん

子宮頸がんは、日本では1年間に約11,000人が診断されます。子宮頸がんと診断される人は20歳代後半から増加して、40歳代でピークを迎え、その後横ばいになります。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma Virus)の感染が関連しています。HPVは、子宮頸がんなどを引き起こすウイルスですが、HPV感染者のほとんどは一過性の感染で、2から3年以内に感染が自然消失します。ごく一部で感染が持続し、数年から数10年の長い時間をかけて、前がん病変(異形成)を経て、子宮頸がんになります。軽度の前がん病変の80%はがんに進展せず、一部は自然に消えてなくなります。早期の子宮頸がんでは、自覚症状がほとんどありません。

HPV 感染と子宮頸がん

子宮頸がんのほとんどは HPV 感染が関連しています。HPV は100種類以上の型が
あり、30~40種類が性的接触によって感染します。その中で、発がん性のある高リスク型
(16/18/31/33/35/45/52/58など約15種類)と、尖圭コンジローマなど良性のいぼの原因となる低リスク型(6/11型など)があります。最大80%の女性が生涯のうち一度はHPVに感染すると報告されています。HPVは性的接触で子宮頸部(入り口)の粘膜の細胞に感染し、細胞の変化(軽度異形成)を起こしますが、多くの場合は免疫の働きなどによってウイルスは排除されます。何らかの原因でウイルスが排除できずに持続的に感染を起こすと中等度~高度異形成(前がん病変)となり、その一部が子宮頸がんに進行します。HPV感染が起こった女性のうち子宮頸がんを発症するのは0.1%程度と推計されています。

HPV感染とワクチン

発がん性のある高リスク型HPVの中でも、16型、18型は日本の子宮頸がんの70%程度を占
めていると報告されています。この16型、18型は日本ですでに使うことのできる2価と4価のHPVワクチンで感染を予防することができます。また、2020年7月に承認された9価ワクチンでは90%の子宮頚癌を予防することができると言われています。

細胞診

子宮頸部(子宮の入り口)を、先にブラシのついた専用の器具で擦って細胞を採り、異常な細胞を顕微鏡で調べる検査です。前がん病変と子宮頸がんを発見できます。

HPV検査

細胞診と同様に子宮頸部から専用器具で採取しHPV-DNAを検出することで感染しているかどうかを調べる検査です。HPV検査は、子宮頸がんの原因ウイルスであるHPVを直接見つけ出す検査です。HPVに感染しているかどうかが分かります。HPV検査は細胞診(通常の子宮頸がん検診)のときに細胞を採取するのと同様の方法で検査できますので、身体の負担はあまりありません。

HPV検査単独法(推奨グレードA:国立がん研究センターより)

進んだ癌を減らす効果があるという証拠がある。評価した研究で得られた効果は、HPV陽性者に対する長期の追跡を含む精度管理体制の構築が前提であり、検査陽性者のフォローをしっかりとできない場合は効果が細胞診単独法を下回る可能性がある。検診の間隔を2から3倍に延長することが可能である。ただし、細胞診単独法に比べて偽陽性が大幅に上昇し、1,000人あたりの偽陽性は42人増加する。対策型検診・任意型検診としての実施を勧めるが、わが国で統一された検診結果毎の対応の仕方が必須条件である。検診対象は30から60歳とし、検診間隔は5年が望ましい。検体は医師採取を原則とする。

 細胞診・HPV検査併用法(推奨グレードC:国立がん研究センターより)

推奨グレードCは条件付きでの推奨ということになります。浸潤がん罹患率減少効果の証拠がある。評価した研究で得られた効果は、HPV陽性者に対する長期の追跡を含む精度管理体制の構築が前提であり、それができない場合は、効果が細胞診単独法を下回る可能性がある。検診の間隔を2から3倍に延長することが可能である。ただし、細胞診単独法に比べて偽陽性が更に上昇、1,000人あたりの偽陽性は101人増加し、3つの手法のなかで最大となる。対策型検診・任意型検診として以下の条件が満たされた場合に実施できる。細胞診は液状検体法を原則とし、検体は医師採取を原則とする。検診対象は30から60歳、検診間隔は5年が望ましい。

ということでHPV単独やHPV検査と細胞診との併用検査も勧められるけれど、陽性の場合にしっかりとフォローを受けることが大切とのことです。また特に異常は無いけど、HPV陽性で異常となる人が増えてしまうと言うデメリットもあります。

細胞診単独子宮がん検診

細胞診単独法の検診対象は20から69歳、検診間隔は2年が推奨されています。上限年齢は、それまでに子宮頸がん検診を受診し続けた場合は80歳程度までの死亡減少効果が持続するという証拠を認めたとのことでした。

まとめ

  • HPV検査を行うことで、子宮がん検診の間隔を長くすることができます。進んだ癌になる前に異常を見つけられる可能性が高いです。(進んだ癌を減らす可能性があります。)

HPV検査単独法の検診対象は30から60歳、検診間隔は5年を推奨されています。上限年齢は、浸潤がん罹患率の減少が60歳以上では有意でないこと、HPV新規感染率が60歳以上で低いことから提示しました。これらの推奨よりHPV単独もしくは併用検診は30歳から60歳、細胞診単独は20歳から69歳で推奨されている。HPV検査を行うことで、子宮がん検診の間隔を長くすることができるという利点があります。

子宮頚癌は自覚症状がほとんど無いので、いずれかの方法で、しっかりと検診を受けるようにしましょう。