オーガズムを感じたことの無い方へのアドバイス

参考文献

  • セックスカウンセリング入門 日本性科学会監修
  • ちつのトリセツ 原田純著、たつのゆりこ指導・監修
  • 人生最高のセックスは60歳からやってくる 原田純著、関口由紀医療監修

オーガズムを感じたことが無い方へのアドバイス

  • 今まで一度もオーガズムを感じたことがない場合
  • 自分で刺激するとオーガズムを感じることが出来るが、セックスではオーガズムを感じることが出来無い場合

オーガズムとは何か

オーガズムは交感神経系の反射で、女性のオーガズムはクリトリスで感じる。この感覚が陰部神経を介して、脊髄の折るがズム反射中枢へ進み、ある閾値を超すと、運動神経を伝わってペニスや膣周辺の筋肉の運動を引き起こす。腟周囲を中心に骨盤底筋が反応する。律動的な収縮(0.8秒に一回という説有り)を伴って、骨盤内を中心に快感が生じる。この快感は筋緊張の強さと心理的興奮や感動の強さなどで異なり、単に収縮を軽く感じる程度から、激しい快感まで様々です。全身的反応の強さに応じて、血圧や脈拍数も上がる。男性は射精に伴ったオーガズムの後はしばらくは興奮反応がおこらない不応期があるが、女性の場合には、続けて何度もオーガズムが起こりうる。

クリトリスは、脚部、球部、腟を3方向から囲む大きな器官です。Gスポットは特別な器官として有るわけでは無いですが、腟の前方のクリトリスに近い部分を言います。つまり、腟でイクというのも広い範囲でのクリトリスでオーガズムを感じるという事です。

Gスポットとは(「専門医が伝える40代からの幸せセックス」北村邦夫著より

トイレに座った状態で腟に指を2本入れて、腟をお腹側に持ち上げるように押しながら、もう一方の手で恥骨のすぐ上の腹部を下に押すと位置が確認しやすい。

オーガズムをどうやって感じるか。

オーガズムは身体の反射反応ですが、性的刺激と精神的な興奮の両方が相まって感じやすくなります。

自分でオーガズムを感じられるようにマスターベーション(オナニー、セルフプレジャー、自慰等とも言う)を行う。自分でコツをつかんで、パートナーにも刺激してもらうという方法もある。

自分で指で刺激する方法と器具を使う方法

指で刺激する場合でも器具を使う場合でも、ローション(潤滑剤)を使うのはお勧めです。

セルフプレジャーグッズ

  • バイブレーター:膣に挿入して同時にクリトリスも刺激できます。
  • クリトリス吸引バイブ:クリトリスを覆う小さなカップがついていて、空気振動でクリトリスを刺激します。腟に挿入するスティックがついている物もありますが、クリトリスの刺激だけでほとんどの女性がオーガズムを得ることが出来ます。
  • ローター:腟に挿入する器具では無く、クリトリスやその周辺を振動によって刺激します。防水になっていて、お風呂で使える物や使い捨ての物があります。初めてグッズを使う場合このタイプがおすすめだそうです(原田純さんより)。

いやらしいことを妄想する

セクシャルなことを考えて、性的に興奮することもオーガズムを得るために大切です。ただの空想だけでは、十分に興奮できない場合には、レディースコミック、女性用AVなどいわゆるおかずも積極的に使ってみましょう。

自分でイケるようになったら、パートナーとのセックスでオーガズムを得る。もしくはパートナーとのセックスではオーガズムが得られない場合。

グッズを使ったマスターベーションではオーガズムを得るなら簡単で確実。でも、セックスではうまくオーガズムが得られなくなったりする場合もあります。また、自分でマスターベーションではイケても、セックスではいけないという場合もあります。パートナーとのセックスでオーガズムを得るためには刺激の強いグッズの使用は避けて、指を使ってマスターベーションをした方が、セックスでオーガズムが得やすいかもしれません。

(男性の場合にも通常のセックスと異なるやり方でのマスターベーション、床にペニスをこすりつける床オナで、膣内射精障害が起こることが分かっています)

射精道、思春期から中高年期まで知っておくべき知識と心構え~思春期の男の子達につたえたいこと。

でも、マスターベーションはドンドンした方が良いし、セックスでの快楽も得やすくなります。

自分の身体を知りつつ、身体を良くする腟ケア

詳しくは、「ちつのトリセツ」をみてもらいたいのですが、オイルで外性器や腟をケアすることで、自分の身体を知ることが出来て、マスターベーションのコツも得やすくなります。オイルケアは、ちつのトリセツでは全身のケアもお勧めしています。セサミオイル、スイートアーモンドオイル、アーユルヴェーダのスキン用オイルなどが推奨されています。外陰部をマッサージして、膣内に指も入れてマッサージしてみましょう。

セルフチェック、下記の項目で当てはまるものがあればケアを初めてみましょう。症状改善無ければ婦人科で相談することもお勧めです。

  • おりものがでなくなった。
  • 外陰部にかゆみやむずむずした違和感がある。
  • 小陰唇やクリトリスが、若い頃に比べて小さくなった。
  • 腟が乾燥している。分泌物がでない、性交痛がある。
  • 性欲がわかず、セックスが苦痛になった。
  • セックスをしても快感が得られない。
  • 腟に指を入れると丸い膨らみがある(子宮や膀胱膣脱、直腸瘤などの可能性あり)
  • 頻尿、尿漏れ、便秘などがある。
  • 膀胱炎にかかりやすい。
  • 猫背になってきた。がに股になってきた。腰痛がある。
  • 元気が出ない。気持ちが沈みがち。

全身のオイルケア、腟ケア、骨盤底筋エクササイズを毎日の習慣にすることがおすすめ。セックスやマスターベーションもおすすめ。腟が縮んでかたくなると、影響は全身に及びます。

自宅で作れる腟の若返りクリーム(ちつのトリセツより)、腟に塗る

  • スイートアーモンドオイル60ml
  • ローズゼラニウムとラベンダーのエッセンシャルオイル 各6滴
  • ネロリのエッセンシャルオイル 1滴
  • ビタミンEオイル(液状、またはカプセルを破る)1.5g

骨盤底筋エクササイズ

セックスで快感を得やすくするためにも骨盤底筋を鍛えることはお勧めです。原田純さんのお勧めのやり方は下記です。

  1. 鼻から息をめいっぱい吸う。子宮の上までを空気で満たすイメージ。
  2. 口から息を吐いてお腹の空気をすべて出し切る。お腹に空気を一切残さず、子宮の植えにたまっている空気もすべて最後まで頑張って絞り出すというイメージ。
  3. お腹の空気を出し切ったら、そのまま5秒間キープ。
  4. ①~③までを一日10回ほど繰り返す。

骨盤底筋体操のために開発された Elvie Trainerというイギリスのメーカーの商品、器具を購入して、無料アプリをスマホにダウンロードして使う。アプリの画面に腟をうごかすタイミングが動画で表示されるので、それにあわせて腟を締めたり、その状態を数秒間維持したり、小刻みにギュゥギュッとしめたりなど腟をうごかす。一回10-15分程度。真面目にやると汗が出るくらいだそうです。原田さんは、この器具を使って一ヶ月で腟圧が15から25にアップしたそうです。

膣圧測定(Dr.Kelによる腟圧計測)

尿漏れや膣のゆるみに効果的!! 膣ハイフと肛門ハイフのご紹介

セックスで使えるグッズ「iroha SVR」

男性のペニスに装着する電動グッズ(女性が一人で使う事もできる)。これを男性が付けるとペニスの根元にクリトリスを刺激する小さな振動バイブがついている状態になります。膣の中にペニスが入った状態のまま、クリトリスがバイブで刺激されます。そのため腟とクリトリスが同時に刺激されて、セックスでオーガズムが得やすくなります。

とにかく性的な興奮が大切。

どうしても自分で刺激してもオーガズムが得られないという場合に、何らかの性にたいする心の問題がある可能性もあります。カウンセリングなどで、性的な事へのトラウマがないか、相談するという選択もあるかと思います。ただ、日本ではまだまだこのような相談窓口が少なく、一般的な産婦人科では、このような相談にはのってくれないところがほとんどだと思います。ただ、少ないながらも、性機能外来というところも有るようです。トラウマに関しては、性機能外来でなくても、一般的なカウンセリングでもサポートしてくれる窓口はあります。一人で悩まずに相談してみてください。パートナーとの関係に問題がある場合には、パートナーと一緒にカウンセリングを受けるという選択もあるかと思います。

セルフプレジャーグッズの購入先

ラブピースクラブ:女性用セルフプレジャーグッズ、Elvie Trainer(エルビートレーナー)など。https://www.lovepiececlub.com/shop/

TENGA:女性用セルフプレジャーグッズ https://store.tenga.co.jp/iroha/index

カップルアイテムhttps://store.tenga.co.jp/product/TSV-010

(irohaSVRはこちらで購入)

原田純さんのYoutube動画(

ちつのトリセツ:https://www.youtube.com/channel/UCoonLdWg5-nvpFlsX2E-4MA

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。