🚭中高生とタバコ ― 未来を守る禁煙外来の役割
近年、電子タバコや加熱式タバコが中高生の間で広まりつつあります。「かっこいいから」「ストレス解消になる」といった理由で軽い気持ちで始めてしまうケースも多く、保護者や教育関係者にとっては見過ごせない問題です。
しかし、中高生の喫煙は、健康・学業・将来に深刻な悪影響を与えます。
■ やめようとしてもやめられない子どもたち
喫煙を始めた中高生の中には、「本当はやめたいのにやめられない」と感じている子が少なくありません。禁煙が難しいのは、意思が弱いからではなく、病気としての『ニコチン依存症』だからです。ニコチンは脳の大脳辺縁系のニコチン受容体に作用してドパミンという快楽物質を放出させます。この働きが習慣化されると、次第にドパミンを出すためにより多くのニコチンが必要になります。ニコチンが体内にないとドパミンが分泌されず、不安やイライラ、集中力の低下といった離脱症状が起こります。その結果、ニコチン血中濃度を保つために、子どもたちは定期的に喫煙したくなるのです。
授業中に吸えないことで集中力が落ち、放課後に吸って頭が冴える…その繰り返しが夜型生活を招き、学力や生活リズムにも悪影響を与えます。
■ 禁煙外来は中高生にも有効!
中高生でも、保護者の同意があれば禁煙外来で医師のサポートを受けることができます。
禁煙外来での主なサポート内容:
- 医師や看護師との面談
- ニコチン依存のチェック
- ニコチンパッチ処方
- 行動療法やカウンセリング
- 家族へのサポートアドバイス
ニコチンパッチを使えば、吸いたくなるレベルを超えないようにニコチンを少量ずつ補給し、ニコチン切れによるイライラや集中力低下などの離脱症状をやわらげることができます。やめるための方法があることを本人に丁寧に伝えることが、行動変容のきっかけになります。
■ 食生活・生活リズム・学業への影響
喫煙によって味覚が鈍くなり、濃い味を好むようになります。その結果、ファーストフードや糖分の多い清涼飲料水ばかり摂るようになり、栄養が偏ることが多く見られます。
これは、成長期の身体にとって極めて深刻な問題です。さらに、喫煙は夜型化、睡眠の質の低下、成績不振、注意力の低下を引き起こし、進学や就職にも悪影響を与えます。
- 授業中の集中力の低下
- 校則違反やバイトでのトラブル
- 健康診断での異常(体力・呼吸器など)
- 面接や内申への悪影響
■ 喫煙は「心のSOS」のサインかもしれません
子どもが喫煙する背景には、ストレスや不安、孤独、家庭や学校でのトラブルが隠れている場合があります。喫煙は「悪いこと」ではなく、助けを求めるサインととらえ、医療や周囲の大人が支えることが大切です。
カウンセリング
ゆいクリニックでは、希望があればカウンセラーによるカウンセリングを受けることも出来ます。
■ 禁煙支援に役立つおすすめアプリ
中高生にも使いやすい、無料の禁煙支援アプリを紹介します。
- 禁煙ウォッチ(iOS/Android):禁煙日数、節約金額、健康回復度などを可視化してモチベーションを保てるアプリ。基本的には、禁煙の記録が主です。
- QuitNow!:禁煙達成ごとのバッジ獲得、SNS連携機能あり。英語表記だが直感的で使いやすい。
- みんなの禁煙アプリ:日本語でわかりやすく、医療的根拠に基づいた情報が得られる。禁煙外来とも連携しやすい。
- 卒煙式(そつえんしき):対応:iOS / Android、主な機能:禁煙日数や節約金額の記録、ご褒美(目標)を設定して達成感を可視化、スタンプやグラフでやる気を維持
おすすめポイント:ゲーム感覚で楽しく続けられる工夫が満載 - Smokefree(スモークフリー)対応:iOS / Android 言語:英語(シンプルで読みやすい)主な機能:禁煙日数、節約金額、健康回復状況などをリアルタイム表示毎日の課題(心理療法に基づく)で行動変容を支援おすすめポイント:世界中で高評価。科学的根拠に基づいた禁煙支援
- みんなの禁煙アプリ:日本語でわかりやすく、医療的根拠に基づいた情報が得られる。禁煙外来とも連携しやすい。
- 禁煙駅伝:禁煙駅伝は、禁煙の目標の達成状況をグラフで見える化できるアプリです。同じアプリを使用しているユーザーのランキングも表示されます。コメントを書いたり「いいね」を付けたりすることも可能です。お互いにコミュニケーションを取って励ましあえるので、モチベーションアップにつながるでしょう。
- kwit(クウィット):無料版と追加で有料にすることも出来ます。禁煙をメンタルケアしてくれるアプリ。Kwitのアプリケーションは、WHO (世界保健機関) によって調査され、禁煙を実行するのに最適なアプリである、と評価されています。
禁煙を始めたばかり、もしくは卒煙しようと決心したところでしょうか?でも、モチベーションを保つのは大変ですよね。Kwitはそんなあなたに最適のアプリです!今の吸いたい気持ちを、キャラクターが質問してくれるので、10段階で表現したり、ニコチンの離脱症状の辛い気持ちを、日記にして毎日書き込めたりできる。アプリのキャラクターのデザインが可愛くて、開くたびに優しく声をかけてくれるので、癒される。
■ 中高生の声・体験談
「最初は遊びのつもりで吸ってたけど、気づいたらやめられなくなってた。親に言えず悩んでたけど、先生が一緒に病院に行ってくれて、やめられた。」
(高校2年・男子)「夜中までタバコ吸ってスマホ見て、朝起きられなくて授業中寝てばかり。禁煙してからはご飯もおいしく感じるし、部活も頑張れるようになった!」
(中学3年・女子)
■ 医療機関で相談してみよう
子どもの禁煙支援には、医療のサポートがとても重要です。下記のような医療機関で相談できます。
- 禁煙治療に保険が使える医療機関情報
- 沖縄県では、医療法人清心会徳山クリニック・永吉 奈央子先生、医療法人はごろも会仲本病院・玉城 仁先生は、子どもの禁煙研究会を主催されていて、子どもの禁煙治療の経験が豊富です。
■ 最後に:禁煙は「支援」で成功する
「やめられないのは、ダメな人間だからではありません」それは脳に依存をつくる病気であり、回復には支援が必要です。医療の力を借りて、完全に吸わない生活を目指すことができます。「うちの子、大丈夫かな?」と思ったら、早めに小児科や禁煙外来のある医療機関へご相談ください。子どもたちの未来は、今からでも守ることができます。