女性ホルモン補充療法(HRT)とは
女性ホルモン補充療法(HRT: Hormone Replacement Therapy)は、更年期や閉経後の女性にエストロゲンを補充する治療法です。エストロゲン欠乏によって起こる様々な症状をよくしたり、エストロゲン欠乏によって起こるリスクを減らして、健康を保つという目的があります。
ホルモン補充療法(HRT)を受ける方へ
ホルモン補充療法(HRT)は、更年期に起こるほてり・発汗・気分の不安定などの症状を和らげるだけでなく、骨粗しょう症や骨折、高コレステロール血症などの予防にも役立つ治療です。
安全に治療を続けるために、いくつか注意点があります。
1. 子宮のある方へ
- HRTでは、エストロゲンという女性ホルモンを補います。
- しかし、エストロゲンだけを使うと子宮の内膜が厚くなり、子宮体がんのリスクが高くなります。
- そのため、必ず「黄体ホルモン」という別のホルモン薬を一緒に使います。
- 場合によっては「バゼドキシフェン」という薬を併用することもあります。
バゼドキシフェン併用の女性ホルモン補充療法について
2. 子宮のない方へ
- 子宮がない方は、子宮体がんの心配がないため、黄体ホルモンを追加する必要はありません。
- ただし、骨粗しょう症の治療目的で「バゼドキシフェン」を一緒に使うことがあります。
3. 乳がん検診
- HRTで乳がんになるリスクは「ごくわずか」で、生活習慣(運動不足・飲酒・ファーストフード)と同じくらい、もしくはそれ以下です。
- それでも乳がんは女性にとって一番多いがんです。
- 乳がんにかかった場合に、女性ホルモン補充療法をつづけると、乳がんを進行させてしまうリスクが有り、乳がんにかかったら、HRTを中止する必要があります。
➡ 必ず1年に1回、乳がん検診(マンモグラフィーや超音波検査)を受けてください。
早期発見には乳がん検診が大切ですが、乳がんにかからないようにする方がもっと大切です。がん検診は、癌を早期発見できる可能性がありますが、癌を予防することは出来ません。是非乳がんにならないような生活を心がけて、女性ホルモン補充療法を長くつづけられるようにしましょう。運動をして、砂糖小麦乳製品食品添加物肉を避けた食生活が、乳がん予防にお勧めです。
がん検診は癌を予防できるか?!(乳癌を予防する方法)
ホルモン補充療法はいつまでやるべきか?
4. 子宮がん検診・血液検査・超音波検査・骨密度検査
- 子宮のある方は、定期的に子宮がん検診を受けてください。(今後はHPV検査で5年に一回の検査が推奨されるようになります。)
- また、子宮の有無に関わらず、HRTを続けている間は定期的に血液検査を実施します。人間ドックを受診して結果を受け取ったら受診の際に持参してみてもらうようにしてください。
- 子宮のある方は半年に一度、超音波で子宮内膜チェックが必要です。子宮内膜の厚みが厚ければ、子宮内膜増殖症を疑って、子宮内膜の検査を行います。
- 年一回の骨密度検査をお勧めします。
5. ご不安やご質問について
治療を受ける中で、不安なことや分からないことがあれば、主治医にご相談ください。