帝王切開は本当に危険?―ぐしかわ看護学校の学生さんの疑問に産婦人科の視点で答えます―

◆ 帝王切開は安全な手術?

ぐしかわ看護学校の学生さんから「帝王切開は危険なのですか?」という質問をいただきました。帝王切開は現在の医療では非常に安全に行える手術ですが、あくまで「手術」であり、自然分娩とは異なるリスクがあることを理解する必要があります。

◆ 帝王切開に伴う主なリスク

帝王切開では、自然分娩に比べて出血量が多くなる可能性があります。また、創部や子宮内の感染、麻酔による合併症、血栓症などが起こることもあります。術後は痛みが強く、回復に時間がかかる点も特徴です。

さらに、将来の妊娠において、癒着、前置胎盤、癒着胎盤などのリスクがやや高くなることも知られています。ただし、これらの合併症の多くは、事前に予測し、管理することが可能です。

◆ それでも帝王切開が必要な理由

これらのリスクがあるにもかかわらず帝王切開が選択されるのは、「帝王切開を行わない方が、より危険な状況」が存在するからです。胎児機能不全、前置胎盤、分娩停止、重症妊娠高血圧症候群などでは、帝王切開のリスクよりも、実施しないリスクの方が大きくなります。つまり、帝王切開は「危険だから避けるもの」ではなく、「必要性がリスクを上回ると判断された時に行う医療行為」です。

◆ 経腟分娩が可能なら、できるだけ自然な経過を

母子の安全が最優先である一方で、経腟分娩が可能な場合には、できるだけ帝王切開を避けることも重要です。安易に帝王切開を選択せず、赤ちゃんの状態が良好であれば、分娩経過が長くなっても待つことができます。自然分娩は時間がかかることもありますが、赤ちゃんが元気で母体にも問題がなければ、その経過を見守ることも安全な選択です。

◆ 骨盤位分娩について

骨盤位分娩は、現在では安全面を考慮して帝王切開が主流となっています。しかし、条件が整い、十分な経験と管理体制があれば、経腟分娩が可能な場合もあります。骨盤位だから必ず帝王切開、という単純な判断ではありません。

◆ 看護学生の皆さんへ

帝王切開と経腟分娩は、「どちらが良い・悪い」ではなく、「その時点でどちらがより安全か」で選択されます。看護師は、その判断の背景を理解し、妊婦さんの不安に寄り添う重要な役割を担います。帝王切開については、「なぜこの選択がされたのか」を考える視点を大切にしてください。

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この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。