ぐしかわ看護学校生徒さんよりの質問と回答
ミレーナ・ピル・アフターピルの違いと選び方について
質問:
クリニックでのミレーナ、アフターピル、ピルの処方割合や年代が分かると、選択の際の検討材料になると思いました。
回答:
とても大切な視点だと思います。避妊や月経に関する治療は、「どれが一番良い」というよりも、その方の年齢、月経の状態、妊娠希望の有無、持病、生活スタイル、飲み忘れの有無などによって選択が変わります。
まず、ゆいクリニックでのミレーナ、ピル、アフターピルの処方割合や年代別の詳しいデータは、現在は集計していません。そのため、今回は日本全体での一般的な傾向と、それぞれの治療・避妊法の違いについてお答えします。
日本では、避妊方法としては今でもコンドームが最も多く使われています。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査では、避妊をしている夫婦の避妊方法として、コンドームが約77%、性交中絶法が約18%、ピルが約2%と報告されています。ミレーナなどの子宮内避妊具は、日本ではまだそれほど多く使われているとは言えません。
ただし、これは「避妊法として何が多く使われているか」という統計であり、「月経困難症」や「過多月経」の治療としてピルやミレーナを使っている方は別に考える必要があります。ピルやミレーナは、避妊だけでなく、月経痛や月経量を減らす目的でも使われます。なお、アフターピルは、継続的に使う避妊法ではありません。避妊をしなかった、コンドームが破れた、避妊に失敗した可能性がある、という時に妊娠の可能性を下げるために使う「緊急避妊薬」です。そのため、今回の比較では、継続的な避妊・月経治療の選択肢としては除外して考えます。
低用量ピルとは
低用量ピルは、女性ホルモンを含む内服薬で、毎日飲むことで排卵を抑え、妊娠しにくくする薬です。避妊目的だけでなく、月経困難症、月経不順、PMS、子宮内膜症などの治療として使われることもあります。
メリット:
月経痛が軽くなる、月経量が減る、月経周期が整いやすい、避妊効果が期待できる、ニキビやPMSが改善することがある、という点があります。
デメリット:
毎日飲む必要があり、飲み忘れると効果が下がります。また、吐き気、頭痛、不正出血などが起こることがあります。まれですが、血栓症のリスクがあるため、喫煙している方、肥満の方、片頭痛がある方、血栓症の既往がある方などは注意が必要です。
ミレーナとは
ミレーナは、子宮の中に入れる小さな器具で、黄体ホルモンを少しずつ放出します。子宮内膜を薄くすることで、月経量を減らし、月経痛を軽くする効果があります。避妊効果も高く、5年間効果が続きます。(アメリカでは7年間に使用期間が拡大されています。)
メリット:
一度装着すると、毎日薬を飲む必要がありません。月経量が大きく減ることが多く、過多月経や月経困難症の治療としても使われます。飲み忘れの心配がないため、忙しい方や毎日の内服が苦手な方には向いています。
デメリット:
装着時に痛みを感じることがあります。装着後しばらくは不正出血が続くことがあります。また、まれに自然に抜けてしまう、位置がずれる、感染や子宮穿孔などの合併症が起こる可能性があります。子宮の形や病気によっては使えない場合もあります。
アフターピルとは
アフターピルは、避妊に失敗した可能性がある時に、妊娠の成立を防ぐ目的で使う緊急避妊薬です。できるだけ早く服用することが大切です。
メリット:
予期しない妊娠を防ぐための緊急手段になります。避妊をしなかった時や、コンドームが破れた時などに使用できます。
デメリット:
あくまで緊急時の薬であり、普段から繰り返し使う避妊法ではありません。服用後に吐き気、不正出血、月経のずれなどが起こることがあります。また、性感染症を防ぐことはできません。
性感染症を防ぐにはコンドームも大切
ピルやミレーナは妊娠を防ぐ効果はありますが、性感染症を防ぐことはできません。性感染症の予防には、コンドームの使用が大切です。避妊と性感染症予防は、分けて考える必要があります。
コンドームの使い方
選ぶ時に大切なこと
ピルが向いている方、ミレーナが向いている方、コンドームを併用したほうがよい方など、適した方法は一人ひとり違います。たとえば、月経痛や月経量がつらい方、毎日薬を飲むのが難しい方にはミレーナが合う場合があります。一方で、月経周期を整えたい方、肌荒れやPMSも一緒に改善したい方にはピルが合う場合があります。
大切なのは、「みんなが使っているから」ではなく、自分の体、生活、将来の妊娠希望に合った方法を選ぶことです。不安なことがある場合は、産婦人科で相談しながら、自分に合った方法を一緒に考えていくことをおすすめします。
避妊や月経の治療は、女性が自分の体を大切にし、自分の人生を主体的に選ぶための大切な医療です。正しい知識を持つことで、不安を減らし、より安心して選択できるようになります。


