リベルサスで本当に痩せる? GLP-1ダイエットの基本を解説

GLP-1ダイエット・リベルサスを正しく知ろう

こんにちは。沖縄市の産婦人科、ゆいクリニック院長の島袋史です。

私は日頃から、健康を支える大切な柱として「食事・運動・睡眠・身体を温めること・ストレス対策」の5つをお伝えしています。今回は、その中でも最近ご相談が増えている「GLP-1ダイエット」と、飲み薬の「リベルサス」についてお話しします。

「飲むだけで痩せる薬なの?」「副作用は大丈夫?」「ずっと飲み続けないといけないの?」など、気になっている方も多いと思います。大切なのは、薬だけに頼るのではなく、どのような薬なのかを正しく理解し、生活習慣の改善につなげていくことです。

リベルサスとはどんな薬?

リベルサスは「セマグルチド」という成分を含む、GLP-1受容体作動薬です。日本では2型糖尿病の治療薬として承認されている飲み薬です。

GLP-1は、食事をしたあとに体内で分泌されるホルモンのひとつです。脳や胃、膵臓などに働きかけ、食欲や血糖を調節します。リベルサスはこのGLP-1と似た働きをすることで、食べすぎを抑えたり、少ない食事量でも満足しやすくしたりする作用があります。

その結果として体重が減少することがあるため、減量目的で使用されるケースもあります。ただし、日本におけるリベルサスの承認された効能・効果は2型糖尿病であり、減量のみを目的とした使用は適応外使用となります。使用するかどうかは、体重だけでなく、既往歴、検査値、体質、現在服用している薬などを確認したうえで、医師が判断することが大切です。

リベルサスは身体のどこに働くの?

リベルサスは主に「脳・胃・膵臓」に働きかけます。

  • 脳:満腹感を感じやすくし、食べすぎを抑える働きをします。
  • 胃:胃の内容物が排出されるスピードをゆるやかにし、少量でも満足感が続きやすくなります。
  • 膵臓:血糖値が高いときにインスリン分泌を促し、血糖の調節を助けます。

つまり、「食欲を無理やりゼロにする薬」というより、食欲をコントロールしやすくし、食べ方を見直すきっかけをつくる薬と考えると分かりやすいでしょう。

とても大切なのが「正しい飲み方」です

リベルサスは、飲み方によって吸収が大きく変わる薬です。そのため、処方された場合は服用方法をきちんと守ることが重要です。

  • 1日の最初の飲食前に、空腹の状態で服用する
  • 水は約120mL以下(コップ半分程度)にする
  • 1回に1錠を服用する
  • 服用後少なくとも30分は、飲食やほかの内服薬を避ける
  • 錠剤を割ったり、砕いたり、噛んだりしない

「薬だから、とりあえず飲めば同じ」ではありません。リベルサスは特に、正しい服用方法を守ることが治療の大切なポイントになります。

副作用についても知っておきましょう

リベルサスでは、使い始めを中心に、吐き気、下痢、便秘、嘔吐、腹部不快感、腹痛、食欲低下などの消化器症状がみられることがあります。

食事量が急に多すぎたり、脂っこいものをたくさん食べたりすると、胃腸の症状を感じやすくなることがあります。ゆっくり食べる、満腹になったら無理に食べない、水分不足に注意する、といったことも大切です。

一方で、嘔吐を伴う激しい腹痛、繰り返す嘔吐、高度の便秘や腹部膨満、強い体調不良などがある場合は、自己判断で様子を見続けず医療機関へ相談してください。急性膵炎や胆道系の病気、腸閉塞など、注意が必要な副作用が起こることもあります。

誰にでも向いている薬ではありません

GLP-1受容体作動薬は、すべての方に同じように適しているわけではありません。

膵炎や重い胃腸障害などの既往がある方、糖尿病の治療薬をほかにも使用している方、妊娠中または妊娠を予定している方などでは、特に慎重な判断が必要です。また、妊娠を予定している女性については、セマグルチドは妊娠予定の少なくとも2か月前から使用しないこととされています。

授乳中の方を含め、気になる病気や服用中のお薬・サプリメントがある場合は、診察時に必ずお伝えください。

「薬だけで痩せる」を目標にしない

私がGLP-1を使った体重管理で特に大切だと考えているのは、薬を飲んでいる期間を、生活習慣を変えるための時間にすることです。

薬によって食欲が落ち着いている間に、ゆっくり食べること、食事量を見直すこと、たんぱく質をしっかり摂ること、無理のない運動を習慣にすること、睡眠を整えることなどを少しずつ身につけていきます。

食事量が減ってくると、たんぱく質やビタミン、ミネラルまで不足してしまうことがあります。「食べないほど痩せる」と考えるのではなく、量を整えながら必要な栄養はしっかり摂ることが重要です。

体重は「毎日の数字」より「流れ」を見る

体重管理を始めたら、できれば体重を記録してみましょう。スマートフォンと連携できる体重計や健康管理アプリを利用するのも便利です。

ただし、体重は水分量や食事、排便などによって毎日変動します。100g、200gの増減に一喜一憂する必要はありません。1日単位ではなく、1週間単位で体重の流れを見ることをおすすめします。

体重だけでなく、食事内容や体調も一緒に記録しておくと、「何を食べたときに調子が悪かったか」「どの生活習慣が体重に影響したか」が見えやすくなり、診察時にもとても役立ちます。

薬をやめた後こそ大切です

GLP-1による治療中に体重が減っても、薬をやめたあとに以前と同じ食生活へ戻れば、体重が戻る可能性があります。

だからこそ、治療中から「薬がなくても続けられる生活」を作っていくことが大切です。

薬 × 食事 × 運動 × 睡眠 × 日々の記録。

薬は健康をつくる主役ではなく、生活を変えるためのサポート役です。薬によって生まれた「食べ方を変えやすい時期」を上手に利用して、ご自身の生活習慣そのものを整えていきましょう。

ゆいクリニックからお伝えしたいこと

リベルサスを含むGLP-1受容体作動薬は、正しく使えば治療の選択肢のひとつになりますが、「誰でも簡単に痩せられる薬」ではありません。

大切なのは、①自分に適した治療か確認すること、②正しい飲み方を守ること、③副作用を理解すること、④増量・減量・中止を自己判断しないこと、⑤定期的に診察を受け、体重や体調を記録することです。

そして最終的な目標は、体重の数字だけを減らすことではありません。食事、運動、睡眠、身体を温めること、ストレス対策という健康の基本を整え、薬に頼らなくても維持できる身体と生活をつくっていくことです。

GLP-1治療や体重管理について気になることがありましたら、自己判断で薬を使用したり量を変更したりせず、診察時にご相談ください。

沖縄市産婦人科 ゆいクリニック
院長 島袋 史

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものです。個々の診断・治療・処方については医師の診察が必要です。リベルサスの日本国内で承認されている効能・効果は2型糖尿病です。減量のみを目的とした使用は適応外使用となります。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。