生理痛がひどいのは月経困難症?原因・治療と改善のための生活習慣

生理痛は我慢しないで|月経困難症の原因・治療と食事・生活習慣によるセルフケア

こんにちは。沖縄市の産婦人科、ゆいクリニック院長の島袋史です。

「生理だから痛いのは仕方がない」「毎月のことだから我慢しよう」と思っていませんか?

生理(月経)のときに多少の痛みや不調を感じる方は少なくありません。しかし、学校や仕事を休まなければならないほど痛い、鎮痛薬を飲んでもつらい、毎月寝込んでしまう……。そんな強い生理痛は、単なる「体質」ではなく、月経困難症の可能性があります。

また、生理痛の背景に子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの婦人科疾患が隠れていることもあります。つらい生理痛を「いつものこと」と我慢し続けないことが大切です。

今回は、生理痛・月経困難症の症状や原因、婦人科で行われる治療、食事・運動・睡眠・身体を温めることなど、毎日の生活の中でできるセルフケアについてお話しします。

生理中、こんな症状はありませんか?

生理のときの不調というと「お腹が痛い」というイメージが強いかもしれませんが、実際には身体にも心にもさまざまな症状が現れます。

身体に現れやすい症状
・下腹部の痛み
・腰痛、背中の重さ
・頭痛、めまい
・吐き気、食欲不振
・下痢、お腹の張り
・むくみ
・だるさ、疲れ

心や日常生活に現れやすい症状
・気分の落ち込み
・イライラする
・食欲が落ちる、または食べ過ぎる
・集中できない
・眠れない
・何もする気になれない

症状の種類や強さには個人差があります。「周りの人も生理痛があるから」と比べる必要はありません。大切なのは、自分自身の日常生活にどのくらい影響しているかです。

つらすぎる生理痛は「月経困難症」かもしれません

月経困難症とは、月経に伴って起こる痛みやその他の症状が強く、日常生活に支障をきたす状態です。

例えば、学校や仕事を休まなければならない、痛みで家事ができない、毎月寝込んでしまうといった場合です。症状の程度には個人差があり、軽い違和感から非常に強い痛みまでさまざまです。

「毎月のことだから」と我慢している方も多いのですが、つらさは身体からの大切なサインです。治療や生活の工夫によって症状が楽になることもあります。

生理痛の背景に病気が隠れていることもあります

強い生理痛の場合、背景に婦人科の病気が隠れていることがあります。例えば、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などです。

特に、以前より生理痛が強くなってきた、性交時や排便時にも痛みがある、月経量が非常に多いといった場合には、一度婦人科で相談することをおすすめします。

必要に応じて超音波検査などを行い、生理痛の原因となる病気がないかを確認します。

月経困難症にはどんな治療がありますか?

月経困難症の治療方法は一つではありません。症状の強さや原因、年齢、妊娠の希望などを考慮しながら、その方に合った治療方法を選んでいきます。

痛み止め(NSAIDs)

イブプロフェンやロキソプロフェンなどの鎮痛薬が使用されることがあります。痛みに関係する物質の働きを抑える薬で、適切なタイミングで使用することが大切です。

ホルモン治療

低用量ピルなどのホルモン製剤によって、月経量や生理痛を軽減する方法があります。また、子宮内膜症などでは黄体ホルモン製剤のジエノゲストなどが使用されることがあります。

子宮の中に装着するミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)も選択肢の一つです。

漢方薬

症状や体質に応じて、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散などの漢方薬が選択されることもあります。

どの治療が適しているかは一人ひとり異なります。自己判断だけで済ませず、症状がつらい場合には婦人科で相談しましょう。

生理痛を整えるために大切な生活習慣

生理痛や月経困難症には医療による治療がありますが、毎日の身体を支えるという意味では、生活習慣を整えることも大切です。

ゆいクリニックでは、健康づくりの基本として「食事・運動・睡眠・身体を温める・ストレス対策」という5つの柱を大切にしています。

すべてを一度に完璧に変える必要はありません。できることから一つずつ始めてみましょう。

生理痛のセルフケア① 身体を温める

生理中は、お腹や腰、足元などを冷やさないよう意識してみましょう。

・お腹や腰を冷やさない服装をする
・足元を温かくする
・無理のない範囲で湯船につかる
・カイロや湯たんぽなどを利用する
・温かい飲み物やスープを取り入れる

特別なことをする必要はありません。「今日は少し身体を温めよう」という小さな習慣から始めてみてください。

生理痛のセルフケア② 無理のない範囲で身体を動かす

体調が良い日は、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れてみましょう。ウォーキング、ヨガ、軽い有酸素運動、お腹・腰・股関節周辺のストレッチなどがあります。

ただし、痛みが強い日に無理をする必要はありません。身体の状態を見ながら、「できる日に、できる範囲で」行うことが大切です。

生理痛のセルフケア③ 毎日の食事を整える

食事は私たちの身体をつくる基本です。生理痛があるからといって、特定の食品だけをたくさん食べればよいわけではありません。

まず意識したいのは、たんぱく質、野菜、海藻、きのこ類など、さまざまな食品をバランスよく食べることです。

魚、卵、大豆製品(豆腐・納豆・豆乳など)を取り入れ、緑黄色野菜や旬の野菜、海藻、きのこなども組み合わせてみましょう。間食にはナッツ類などを少量取り入れる方法もあります。

反対に、甘いものや加工食品に偏った食生活になっている場合には、毎日の食事全体を見直してみましょう。

朝食を抜いたあとに一気に食べたり、早食いやドカ食いを繰り返したりするよりも、規則的に食べることを意識するのがおすすめです。

生理痛のセルフケア④ 腸内環境を整える

日々の体調管理という意味では、腸の状態を整えることも大切です。

食生活では、味噌・納豆・ぬか漬けなどの発酵食品や、野菜・きのこ・海藻・豆類などに含まれる食物繊維を取り入れ、水分もこまめに摂りましょう。

便秘が続いている場合には、朝食をとって生活リズムを整える、適度に身体を動かす、水分を摂るなど、基本的な生活習慣を見直してみることも一つです。

便秘が強い場合や長く続く場合には、無理に自己流で改善しようとせず、医療機関へ相談してください。

生理痛のセルフケア⑤ 睡眠を大切にする

忙しい毎日の中では、どうしても睡眠が後回しになりがちです。しかし、睡眠は身体を休ませる大切な時間です。

・就寝時刻をなるべく一定にする
・生活リズムを整える
・寝る前はスマートフォンや強い光をできるだけ控える
・十分に身体を休ませる

「生理前や生理中になると特に疲れる」「眠気が強い」という方は、普段から休息が足りているかも振り返ってみましょう。

生理痛がある方に意識してほしい栄養素

栄養は月経困難症の治療そのものではありませんが、毎日の身体を支える土台になります。

食生活の中では、マグネシウム、オメガ3脂肪酸、亜鉛、鉄、たんぱく質なども意識してみましょう。

マグネシウム

豆類・大豆製品、ナッツや種子類、わかめ・ひじきなどの海藻、ほうれん草・小松菜などの葉物野菜、玄米などに含まれています。

オメガ3脂肪酸

サバ、イワシ、サンマ、鮭、アジなどの魚に含まれています。亜麻仁油やえごま油などから摂ることもできます。

亜鉛

牡蠣、煮干し、卵、大豆製品、かぼちゃの種、ナッツ類などに含まれています。

月経量が多い女性では、鉄不足にも注意が必要です。あさり・しじみ、大豆・豆類、小松菜などの青菜、卵など、さまざまな食品を組み合わせて摂りましょう。

たんぱく質

たんぱく質は身体をつくるために欠かせない栄養素です。魚、卵、大豆製品などを中心に、毎日の食事に取り入れていきましょう。

大切なのは、特定の栄養素だけに頼らないことです。栄養は「これを摂れば生理痛が治る」と考えるのではなく、身体を支えるものとして、まず毎日の食事全体を整えることを大切にしましょう。

生理痛や月経の状態を記録してみましょう

「毎月つらいけれど、病院でうまく説明できない」という方は、生理の状態を記録しておくのもおすすめです。

・生理が始まった日
・生理が続いた日数
・経血量
・痛みの強さ
・鎮痛薬を飲んだ回数
・頭痛、便秘、下痢、吐き気などの症状
・その日の体調や気分

こうした記録は、自分自身の体調の変化に気づくきっかけになるだけでなく、婦人科を受診したときに症状を説明する際にも役立ちます。

こんな生理痛があるときは婦人科へ

次のような症状がある場合には、「生理だから仕方がない」と我慢せず、婦人科に相談してみてください。

鎮痛薬が効かないほど痛い
年を追うごとに生理痛が強くなっている
性交痛や排便痛がある
月経量が非常に多い
レバーのような血のかたまりが多く出る
学校や仕事を休まなければならないほどつらい

こうした症状がある場合には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れていないか確認することも大切です。早めに婦人科へ相談しましょう。

「毎月つらい」を当たり前にしないでください

生理は毎月やってくるものだからこそ、「これくらい我慢しないと」と考えてしまう方が少なくありません。

でも、学校や仕事、家事、育児などの日常生活に影響するほどつらいのであれば、我慢し続ける必要はありません。

痛み止めやホルモン治療、漢方薬など、医療でできることがあります。そして同時に、食事・運動・睡眠・身体を温める・ストレス対策など、毎日の暮らしの中から身体を支えていくこともできます。

全部を完璧にしなくても大丈夫です。今日は少し早く寝る。温かいものを食べる。10分だけ歩いてみる。食事に魚や大豆製品を一品加えてみる。そんな小さなことから始めてみてください。

そして、生理痛がつらいときには一人で抱え込まず、婦人科に相談してください。「毎月つらい」は、受診してよい十分な理由です。

ゆいクリニックでは、一人ひとりの症状や生活、希望を伺いながら、その方に合った方法を一緒に考えていきます。生理痛や月経について気になることがありましたら、ご相談ください。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状が気になる場合や日常生活に支障がある場合は、医療機関へご相談ください。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。