ビール1缶でも安心じゃない?「少しのお酒」で上がる健康リスク
「毎日じゃないし、少しだけだから大丈夫」——そう思ってお酒を飲んでいる方は多いかもしれません。
でも近年のデータでは、少量の飲酒でも病気のリスクが上がることが分かってきています。
少しの飲酒でも、リスクはゼロにならない
飲酒量と病気の関係を示した資料では、「飲まない人が最もリスクが低い」ことが示されています。
かつて言われていた「少量なら体に良い」という考え方(いわゆるJカーブ説)は、現在では否定されています。
少量でも、次のようなリスクが少しずつ上がる可能性があります。
- 高血圧
- 胃がん・食道がん
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞など)
- 乳がん(特に女性)
「純アルコール量」をお酒の種類でイメージすると
「純アルコール量」と言われてもピンと来ないですよね。
目安として、よく飲まれるお酒に置き換えると次のようになります。
- ビール(5%)350ml(缶1本):純アルコール約14g
- ビール(5%)500ml(ロング缶):純アルコール約20g
- 日本酒 1合(180ml):純アルコール約22g
- ワイン(12%)グラス1杯(約120ml):純アルコール約12g
- 焼酎(25%)100ml:純アルコール約20g
つまり、「ビール1缶」や「日本酒1合弱」でも、すでに“影響が出始める量”に近いと考えられます。
| 性別 | 病気(発症リスクが上がるとされるもの) | リスク上昇が示された飲酒量(純アルコール量) | お酒の量の目安(分かりやすい換算) |
|---|---|---|---|
| 男性 | 高血圧 | 0g<(少量でも) | 「少しだけ」でもリスク上昇の可能性(例:ビール・日本酒を少量でも) |
| 男性 | 胃がん | 0g<(少量でも) | 「少しだけ」でもリスク上昇の可能性(例:ビール・日本酒を少量でも) |
| 男性 | 食道がん | 0g<(少量でも) | 「少しだけ」でもリスク上昇の可能性(例:ビール・日本酒を少量でも) |
| 女性 | 脳卒中(出血性) | 0g<(少量でも) | 「少しだけ」でもリスク上昇の可能性(例:ビール・日本酒を少量でも) |
| 女性 | 脳卒中(脳梗塞) | 75g/週(約11g/日) | ・ビール(5%)約280ml(350ml缶の約8割) ・日本酒(15%)約0.5合(約90ml) ・ワイン(12%)約120ml(グラス1杯) |
| 女性 | 乳がん | 100g/週(約14g/日) | ・ビール(5%)350ml(缶1本) ・日本酒(15%)約0.6合(約115ml) ・ワイン(12%)約150ml |
| 男女 | 大腸がん | 150g/週(約20g/日) | ・ビール(5%)500ml ・日本酒(15%)約1合(180ml) ・ワイン(12%)約210ml |
| 男性 | 脳卒中(出血性) | 150g/週(約20g/日) | ・ビール(5%)500ml ・日本酒(15%)約1合(180ml) |
| 男性 | 脳卒中(脳梗塞) | 300g/週(約40g/日) | ・ビール(5%)約1,000ml(500ml×2) ・日本酒(15%)約2合 |
| 男性 | 肝がん | 450g/週(約60g/日) | ・ビール(5%)約1,500ml(500ml×3) ・日本酒(15%)約3合弱 |
※「0g<」は、0より多い(=ほんの少しでも)飲酒でリスクが上がる可能性が示されている項目です。
※換算は目安です(度数や銘柄で変わります)。
日本人は「お酒に弱い体質」の人が多い
さらに知っておきたいのが、日本人の体質です。
日本人の中には、アルコールを分解する力が生まれつき弱い人が多いことが知られています。
例えば、
- 少し飲むと顔が赤くなる
- 動悸・頭痛・吐き気が出やすい
- 翌日に残りやすい
こうした方は、体の中にアルコールの分解途中でできる有害物質(アセトアルデヒド)がたまりやすく、
がんや生活習慣病のリスクが高くなりやすいと考えられています。
「欧米の適量」をそのまま日本人に当てはめるのが難しい理由のひとつです。
今日からできる「体にやさしい飲み方」
お酒を完全にやめるのが難しい方でも、まずは“減らす工夫”からでやってみましょう。
- ビールを毎日1本 → 半分にする
- 休肝日を週に2日以上つくる
- 顔が赤くなる体質の人は、無理に飲まない
「少しだから大丈夫」ではなく、「少しでも影響があるかもしれない」
この意識が、将来の病気を防ぐ第一歩になります。
本の紹介

参考資料
- 厚生労働省:「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(2024)」


