毎日使うプラスチック、本当に大丈夫?脳との意外な関係

身近なプラスチックが脳に影響?
マイクロプラスチックとアルツハイマー病、いま分かっていること

ペットボトルや食品容器、プラスチックコップなど、私たちの生活はプラスチックに囲まれています。便利で軽く、当たり前のように使っている素材ですが、近年「マイクロプラスチック」と呼ばれる微細なプラスチック片が、健康に影響を与える可能性があるとして注目されています。

最近では、アルツハイマー病との関連を示唆する研究報告も登場し、医学界でも関心が高まっています。本コラムでは、一般の方向けに「いま分かっていること」と「過度に不安にならないためのポイント」、そして今日からできる対策をまとめます。


マイクロプラスチックとは?

マイクロプラスチックとは、一般に直径5mm以下の非常に小さなプラスチック片のことを指します。これらは、プラスチック製品が劣化・摩耗して生じたり、製造・使用・廃棄の過程で環境中に広がったりして、食品や飲料、空気中にも存在すると考えられています。

その結果、私たちは飲食や呼吸を通じて体内に取り込む可能性があると指摘されています。


プラスチックとアルツハイマー病の関係

国内外で、マイクロプラスチックが生体に与える影響が研究されています。国内医学情報誌の記事では「プラスチックコップがアルツハイマー病のリスクを高める可能性」というテーマで、マイクロプラスチック曝露と認知機能・炎症・代謝に関する研究が紹介されています。(参考:国内医学情報誌「Pick Up News」該当記事)

ポイントは次の2つです。

  • 研究段階では、炎症反応や代謝の変化、認知機能に関わる指標の変化がみられたという報告がある
  • 一方で、現時点では「プラスチックを使う=アルツハイマー病になる」と断定できる段階ではない

つまり、現状は「因果関係が確定した」というより、リスクとの関連が示唆され、研究が進んでいる段階と理解するのが適切です。


なぜ脳に影響する可能性があるのか?(考えられている仕組み)

マイクロプラスチックが脳や認知機能に影響し得る理由として、研究では主に次のような仮説が検討されています。

  • 慢性的な炎症を引き起こす可能性
  • 酸化ストレス(細胞を傷つける反応)を増やす可能性
  • 体内のバリア機能(例:血液脳関門)への影響の可能性
  • 神経細胞の周囲環境が悪化する可能性

アルツハイマー病は、長年にわたる炎症や代謝異常などが積み重なって進行すると考えられています。マイクロプラスチックが、そうした背景要因の一部になり得るかどうかは、今後の研究でさらに明らかになっていく見込みです。


マイクロプラスチック以外の「プラスチックの心配」

プラスチックの問題は、微細片そのものだけではありません。製品によっては、可塑剤(フタル酸エステル)やビスフェノールA(BPA)などの化学物質が関与する可能性も指摘されています。これらは、ホルモンバランスや免疫、神経系への影響が議論されており、特に妊娠期・乳幼児期・高齢期は注意が必要とされることがあります。

ただし、化学物質の影響は製品の種類・使い方・曝露量によって大きく異なるため、ここでも「必要以上に怖がらず、できる範囲で減らす」という姿勢が現実的です。


今日からできる現実的な対策(できる範囲でOK)

マイクロプラスチックは現代社会では避けきれない面もあります。だからこそ、“ゼロにする”より“減らす工夫”が大切です。

すぐに始めやすいポイント

  • 熱い飲み物をプラスチック容器に入れない(高温で成分が移行しやすい可能性があるため)
  • 電子レンジでのプラスチック容器の使用を控える
  • 飲料は、可能ならガラス・陶器・ステンレスなどの容器を選ぶ
  • 使い捨てプラスチック(カップ、ストロー、カトラリー等)を減らす

無理のない範囲で、生活の中の「熱」「使い捨て」「長時間接触」を減らすのがコツです。


まとめ

マイクロプラスチックは、身の回りのプラスチック製品の劣化や環境中の微細片として、私たちの体内に入り込む可能性があると考えられています。研究が進む中で、アルツハイマー病を含む認知機能への影響が示唆される報告も出てきました。

一方で、現時点では因果関係が確定したわけではありません。だからこそ、必要以上に不安をあおらず、「できる範囲で減らす」を合言葉に、日常の選択を少しずつ見直すことが、将来の健康を守る一歩になるかもしれません。


参考文献

  1. 国内医学情報誌「Pick Up News」:『プラスチックコップがアルツハイマー病のリスクを高める?』
  2. Gaspar, R. et al. Short-term exposure to polystyrene microplastics alters cognition, immune, and metabolic markers. Environmental Research Communications.
  3. World Health Organization (WHO). Microplastics in drinking-water.
  4. Prüst, M. et al. Microplastic effects on human health. Science of the Total Environment.

※本記事は、一般向けの情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は医療機関へご相談ください。

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この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。