ぐしかわ看護学校生徒さんよりの質問と回答
子宮頸がんワクチンは性交渉経験後でも効果がありますか?リスクも含めて教えてください
質問:
子宮頸がんのワクチンは打った方がいいと思いますが、リスクもふまえて教えてほしいです。性交渉経験があったら、その後に打っても効果はあまりないのですか。
回答:
子宮頸がんワクチン、正式にはHPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス、HPVの感染を予防するためのワクチンです。子宮頸がんの多くはHPV感染が原因で起こります。そのため、HPVワクチンは、将来の子宮頸がんを予防するためにとても大切なワクチンです。
HPVは特別な人だけが感染するウイルスではありません。性交渉の経験がある人であれば、誰でも感染する可能性があります。感染しても多くは自然に消えますが、一部の人では感染が長く続き、子宮頸部の前がん病変や子宮頸がんにつながることがあります。
性交渉経験があると、ワクチンの効果はなくなりますか?
結論から言うと、性交渉経験があっても、HPVワクチンの効果がまったくなくなるわけではありません。HPVワクチンは、すでに感染しているHPVを治す薬ではありません。また、すでに感染したことのあるHPVの型に対しては、予防効果は期待しにくくなります。そのため、最も効果が高いのは、HPVに感染する前、つまり初めての性交渉の前に接種することです。しかし、HPVには多くの型があります。性交渉経験があっても、すべてのHPV型に感染しているとは限りません。現在使われている9価HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となる複数のHPV型を予防します。そのため、性交渉経験後であっても、まだ感染していない型に対しては予防効果が期待できます。つまり、「性交渉経験があるから、もう打っても意味がない」というわけではありません。ただし、できるだけ早い時期、できれば性交渉開始前に接種する方が、より高い予防効果が期待できます。
HPVワクチンのメリット
HPVワクチンの大きなメリットは、子宮頸がんの原因となるHPV感染を予防できることです。9価ワクチンでは、子宮頸がんの原因の多くを占めるHPV型を予防できるとされています。また、HPVワクチンによって、子宮頸がんだけでなく、子宮頸部異形成などの前がん病変を減らすことも期待されます。前がん病変が見つかると、経過観察や精密検査、場合によっては円錐切除術などの治療が必要になることがあります。円錐切除術を受けると、その後の妊娠で早産のリスクが上がることも知られています。将来のがんを予防するだけでなく、若い女性が将来の妊娠や出産を守るという意味でも、HPVワクチンは大切な予防医療です。
HPVワクチンのリスク・副反応
HPVワクチンにも、他のワクチンと同じように副反応があります。多いのは、注射した部位の痛み、腫れ、赤みです。頭痛、発熱、だるさ、めまい、吐き気などが出ることもあります。また、注射の痛みや緊張によって、接種後に気分が悪くなったり、失神したりすることがあります。そのため、接種後はすぐに帰らず、しばらく座って様子を見ることが大切です。まれですが、重いアレルギー反応などの重い副反応が起こることもあります。接種後に強い症状や長引く症状がある場合は、接種した医療機関やかかりつけ医に相談してください。過去に日本では、HPVワクチン接種後に痛みやしびれ、体の動かしにくさなどの「多様な症状」が報告され、積極的な接種勧奨が一時差し控えられた時期がありました。その後、専門家による検討を経て、現在は安全性と有効性について改めて評価され、定期接種として接種勧奨が再開されています。
ワクチンを打てば子宮頸がん検診は不要ですか?
HPVワクチンを接種しても、子宮頸がん検診は必要です。ワクチンで予防できるHPV型は多いですが、すべての子宮頸がんを100%防げるわけではありません。そのため、HPVワクチンと子宮頸がん検診は、どちらか一方ではなく、両方が大切です。ワクチンで感染を予防し、検診で早期発見をする。この二つを組み合わせることで、子宮頸がんから自分の体を守る力が高まります。
接種を考える時に大切なこと
HPVワクチンは、年齢や接種歴によって接種回数や公費で受けられるかどうかが変わります。対象年齢の方は、自治体からの案内を確認し、接種できる時期を逃さないことが大切です。性交渉経験の有無にかかわらず、未接種であれば接種について相談する価値があります。ただし、妊娠中、体調が悪い時、過去にワクチンで強いアレルギー反応があった方などは、接種できません。
まとめ
HPVワクチンは、子宮頸がんを予防するために大切なワクチンです。最も効果が高いのは性交渉を経験する前の接種ですが、性交渉経験があるからといって、効果がまったくなくなるわけではありません。まだ感染していないHPV型に対する予防効果が期待できます。
一方で、接種部位の痛みや腫れ、発熱、めまいなどの副反応が起こることがあります。まれに重い副反応もあるため、メリットとリスクの両方を知ったうえで、納得して接種を考えることが大切です。HPVワクチンは、未来の子宮頸がんを防ぐための予防医療です。そして、ワクチンを接種した方も、20歳以降は子宮頸がん検診を受けることが大切です。ワクチンと検診の両方で、自分の体と将来を守っていきましょう。


