母乳をあげるとやはり胸の形はくずれるのですか?(ぐしかわ看護学校学生さんからの質問)

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質問:母乳育児をすると胸の形がくずれるのが嫌だと言っているのを聞いたことがありますが、母乳をあげるとやはり胸の形はずれるのですか?

答え:人それぞれ個人差があります。胸の形が悪くなる人もいれば、そうでない人もいます。また、授乳経験がなくても、年齢とともに胸の形も変わっていく方もいますが、あまり変わらない人もいます。

島袋の個人体験

私島袋個人の体験では、もともと小さい胸で、授乳のたびに大きくなって、授乳が終わるとしぼみました。最初の子の授乳を開始した時には生まれて初めて胸の谷間ができて喜んでいました。授乳が終わると胸は小さくしぼみました。まさに風船がしぼむかのようにしぼみました。乳頭だけ少し大きめになりました。その後妊娠出産を繰り返し、授乳中は大きくなり、その後しぼむを繰り返し、4人目の授乳が終わったときには垂れてぺしゃんこです。まるでおばあさんのようだとちょっと悲しくなりました。こんなに垂れて小さな胸は恥ずかしいと思いました。でも、母乳育児をしたから胸の形が悪くなったとは特に考えていません。年を取れば、体の形は変化していくと思っています。胸の形は悪いですが、豊胸術を受けるのは大変そうなので、このままで仕方がないと思っています。(手術を受けるために休みを取ったり、術後のケアなどが面倒だなあと考えてしまいます。)

美容整形について

胸の形は授乳がすべて終わってから美容整形を受けることもできますが、胸の形が悪くなるからと授乳をしなかったからといって、胸の形が美しく保たれるという事はなく、人それぞれです。年をとって、どのような体型になっていくかはわかりません。授乳の有無で胸の形が変わると言うより、身体は年をとると共に変わっていくと思います。美容整形で乳房を大きくしたとしても、母乳育児にはあまり大きな影響はないことが多いですが、大きすぎる乳房を小さくする場合に、乳管を切断してしまうと乳汁が出てこなくなってしまうことがあります。手術を受ける際には母乳育児への影響についてよく相談しましょう。

母乳育児のメリット

胸の形がどう変わるかということよりも、子どもが母乳を飲むということは、どんなことにも代えがたい大切な事だと思います。初乳や母乳を飲むことは子どもの一生の健康を支える大切な一歩だと思います(その後の食事ももちろんとても大切ですが。)また授乳をすることで母体の乳がんのリスクが減ることは、胸の形が変わってしまう可能性よりもとても大切な事だと思います。

母乳育児のメリット~赤ちゃんにとって

  • 栄養:脳の成長に大切な糖質や脂質がたくさん含まれています。
  • 免疫:母乳で育てられると、下痢、気管支炎、肺炎、中耳炎、敗血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、壊死性腸炎などの病気にかかりにくくなり、また、乳幼児突然死症候群(SIDS)、インスリン依存性糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、アレルギー性疾患、などの病気から子ども達を守っている可能性があることがわかっている。
  • 親子の絆:おっぱいホルモンに助けられて赤ちゃんとのきずな作りを助けてくれます
  • IQが高くなる

母乳育児のメリット~母親にとって

  • ダイエット:身体をお産前の状態に戻しやすくしてくれます。子宮が縮んで、体脂肪が減っていきます。おっぱいをあげることは究極のダイエットです。
  • おっぱいホルモン:育児がよりいっそう楽しくします。おっぱいをあげているとマタニティーブルーになりにくいです。
  • 病気にかかりにくくなる~乳癌や卵巣癌にかかる可能性や閉経後の大腿骨頭骨折の可能性が少なくなります。
  • 避妊がしやすいです。完全におっぱいだけで育てて1日8回以上授乳していると、産後6ヶ月未満で妊娠する可能性は2%未満です。(時に産後2ヶ月でも排卵が起こることがあるので、最初のセックスからコンドームを使いましょう。)
  • 経済的:一年間に約9万円のミルク代が節約できます

母乳育児のメリットは赤ちゃんにもお母さんにもあります。胸の形の変化を思い悩むよりも、ぜひ赤ちゃんに母乳をしっかりとあげましょう。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。