カルシウムをとるためのおすすめの食材と牛乳の害

ぐしかわ看護学校生徒さんからの質問にお答えします。

カルシウムを摂るために、毎日牛乳を飲んでいますが、牛乳がおすすめでないということで、何でカルシウムを摂れば良いですか?という質問です。

牛乳がどうして良くないかという事はこちらの記事にあります。https://www.yuiclinic.com/information/998/

ちょっと長くなりますが、どうして牛乳が良くないかという事についての説明です。少しおつきあいください。

牛乳にはカルシウムが大量に含まれていて、子どもの成長や骨格作りに大切ということがよく言われます。牛乳のカルシウムは、牛乳に含まれる人間が消化しにくいタンパク質であるカゼインと結合しているものがほとんどで、人間が吸収しやすいカルシウムは含まれていません。また、この吸収しにくいタンパク質を肝臓で無毒化させる際に、尿素に転換するときに、酸性に傾いた血液をアルカリ性にもどすため、カルシウムが使われます。
カルシウムは、身体の中にもっとも多くたまっているところが骨なので、この尿素転換のときに骨からカルシウムを溶かし出すのです。そして、尿になって排泄されます。
このことで、かえって骨からのカルシウムが失われて、骨粗しょう症になったりすることがあると、アメリカの調査で報告があるそうです。また、牛乳には飽和脂肪酸が多く含まれており、動脈硬化のリスクを高めます。

日本人の多く(75%)が乳糖不耐症だというデータがあり、牛乳を飲むと消化不良を起こして、お腹がごろごろしてしまうという人が多いのです。
ヨーグルトを飲むと便の出がよくなったと思っている人の中には、腸内細菌の状態が良くなったから便通が良くなったのではなく、下痢で便が出ているという人もかなりいるはずです。

牛乳のカゼインは人間の母乳中にもふくまれています。けれども牛乳のカゼインはα(アルファ)型で、母乳のカゼインはβ(ベータ)型で、異なります。α型とβ型では消化するための酵素が違い、人間は牛乳のカゼインを消化することができません。
アルファ型カゼインは、脳内でモルヒネ様物質を作り出し中毒状態を作り出します。
また、胃液と反応し、カードと言われる乳餅をつくり、粘着力の強いタンパク質となります。これによって栄養の吸収を妨げます。そのため、鉄の吸収不足から貧血、ビタミンやミネラルの吸収不足による食べ過ぎ、肥満、疲労感や無気力感を生じさせます。アルファ型カゼインは消化されにくくアレルゲンとなりやすいため、様々な病気のリスクを高めます。

牛乳のカルシウムは、このアルファ型カゼインと結合しているためイオン化していないので、吸収されにくくなっています。また、牛乳のほとんどが加熱殺菌されて出荷されていますが、加熱するとカルシウムがリン酸カルシウム塩に変化し、身体はカルシウムを栄養として利用できなくなってしまいます。

さらに牛乳を飲むとタンパク質をたくさん摂ることになり、消化があまりできないタンパク質のために、腸の中に窒素残留物が増え、これが腸から吸収され肝臓に入り、肝臓で代謝され、尿中に排泄されます。この窒素残留物によって、酸性化した血液をアルカリ性にするためにカルシウムが必要となり、そのカルシウムは骨から使われるのです。ですから、牛乳にはカルシウムは豊富に含まれるのですが、そのカルシウムは栄養として体内で利用されずに、牛乳を飲むことでかえって、骨のカルシウムが使われてしまう可能性があるのです。

牛乳には乳糖が含まれますが、乳糖を分解するラクターゼの分泌は2歳以降は減ってしまうので、多くの人が牛乳を飲むと下痢をするなどの症状が出る乳糖不耐症であるということです。ただ、日本人は腸が長く便秘症が多いので、消化不良をおこして、下痢をしていることに気づかない人もいるとのことです。

給食には必ず牛乳がでて、牛乳は健康によいとたくさん宣伝をされる中で、牛乳は大切な栄養源であると間違った常識が日本人に植え付けられてしまっていますが、ぜひその認識を改めた方がよいかと思います。学校給食では、ぜひ内容の見直しをして、パン食、牛乳をやめて、和食にすることで、子どもたちはより健康になれるのではないかと思います。
実際にそういう取り組みをしている自治体のニュースを見たことがあります。
こちらでは完全米飯給食も実施しているようです。

http://www.sankei.com/life/news/140325/lif1403250036-n1.html

では、何でカルシウムを摂れば良いかという事ですが、私の一押しは煮干しです。鉄分や亜鉛、カルシウムのミネラルを摂るために吸収の良い煮干しだし味噌汁は特におすすめです。https://www.yuiclinic.com/information/2557/ 

また、豆や海藻、小魚、野菜、はカルシウム豊富でおすすめ食材です。また骨を丈夫にするために、天日干しされた干しシイタケや切り干し大根でビタミンDを摂ることもおすすめです。カルシウムのサプリメントは、カルシウムだけ含まれている物ではなく、カルシウムとマグネシウムのバランスが大切なので、サプリメントを摂る場合にはカルシウムとマグネシウムの両方含まれているものをとることがおすすめです。また、むしろマグネシウムが足りない人が多いのでマグネシウムを積極的に摂ることも大切です。マグネシウムをとるのに、にがりはおすすめです。粟国の塩のにがりhttps://www.yuiclinic.com/information/793/

以上、牛乳とカルシウムのお話しでした。

 

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牛乳がビタミンDを邪魔する。牛乳をとると骨折が増える。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。