プレ更年期とは?月経があっても起こる心と体の変化と整え方

月経はまだあるのに、以前より疲れやすい。よく眠れない。気分が不安定になり、ささいなことでイライラしたり、涙が出たりする。

そんな変化を「年齢のせい」「性格のせい」と片づけていませんか。

もしかすると、その不調には、更年期へ向かう時期のホルモン変動が関係しているかもしれません。

今回は、いわゆる「プレ更年期」に体の中で起こる変化と、毎日の生活でできる対策について、やさしくお伝えします。

プレ更年期とは

「プレ更年期」は、厳密な医学用語ではありません。

一般には、更年期へ向かう過程で心と体のゆらぎを感じ始める時期を、わかりやすく表した言葉として使われています。

閉経に近づくにつれて、卵巣の働きや排卵が不規則になり、女性ホルモンの分泌が大きく変動することがあります。

月経が続いていても、体の変化は始まります。年齢だけで決めつけず、症状や月経の変化を丁寧に見ていくことが大切です。

プレ更年期にみられやすい症状

症状の現れ方や強さには個人差があり、すべての症状が現れるわけではありません。よくみられる変化には、次のようなものがあります。

  • 涙もろさ、不安、イライラなどの気分の波
  • 休んでも取れない疲れやだるさ
  • 寝つきが悪い、途中で目が覚める、熟睡感がない
  • 物忘れや集中しにくさ、頭がぼんやりする感じ
  • ほてり、寝汗、冷え
  • 月経周期や出血量の変化

甲状腺の病気、貧血、うつ病などでも、似た症状が現れることがあります。

つらい症状を何でも更年期と決めつけず、必要に応じて検査を受けることも大切です。

女性ホルモンは一定に減るのではなく大きく揺れる

エストロゲンは、代表的な女性ホルモンの一つです。

主に卵巣で作られ、月経周期だけでなく、骨、血管、皮膚、腟や尿路、脳の働きなど、全身に関わっています。

更年期へ向かう時期のエストロゲンは、単純に少しずつ減るのではありません。高くなったり低くなったりしながら、大きく変動します。

この「揺れ」によって、ほてり、寝汗、睡眠の変化、気分の波、月経の乱れなどを感じる方も少なくありません。

「昨日はできたのに、今日はできない」という日があっても、それは本人の弱さや努力不足とは限りません。どうか自分を責めないでください。

女性にも大切なテストステロン

テストステロンはいわゆる男性ホルモンですが、女性の体でも卵巣や副腎などで作られています。

筋肉や骨、性機能、意欲などに関係し、その一部はエストロゲンを作る材料にもなります。

ただし、やる気や決断力をテストステロンだけで説明することはできません。ホルモンは、睡眠、栄養、心理状態など、さまざまな要素とともに心身の働きを支えています。

女性にとってのテストステロンについては、こちらの院長コラムでも詳しく紹介しています。

女性にも大切な男性ホルモン(テストステロン)

ストレスが不調を強めることも

コレステロールは、エストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどのステロイドホルモンを作る原料です。

コルチゾールは、体がストレスに対応するときに重要な働きをします。

強いストレスがあると「ホルモンの材料がすべてコルチゾールに奪われる」という単純な仕組みではありません。

しかし、慢性的なストレスは、脳と副腎をつなぐストレス反応の仕組みや睡眠、自律神経などに影響し、更年期の心身のゆらぎを強めることがあります。

ストレスを完全になくすのは難しいものです。大切なのは、休む時間を確保し、心と体が負担から回復できる環境を作ることです。

エストロゲンとセロトニンの関係

セロトニンはホルモンではなく、気分や睡眠、自律神経の調節などに関係する神経伝達物質です。いわば、脳内で情報を伝える物質です。

エストロゲンやテストステロンは、脳内のセロトニンの合成や働きに影響します。

そのため、性ホルモンが低下したり大きく変動したりすると、気分や睡眠にも変化が現れることがあります。

ただし、気分の落ち込みや不眠には、ストレスや生活環境、ほかの病気など、複数の要因が関係します。原因を一つに決めつけないことが大切です。

良い睡眠には栄養も大切

プレ更年期には、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、眠っても疲れが取れないといった睡眠の悩みが起こることがあります。

ホルモンの変動やストレスだけでなく、毎日の栄養状態も睡眠に関係しています。

睡眠に関わるメラトニンは、セロトニンを材料にして作られます。さらに、セロトニンの材料となるのが、たんぱく質に含まれるトリプトファンです。

体内でこれらの物質を作るためには、ビタミンB6、鉄、マグネシウム、亜鉛などの栄養素も必要です。

睡眠と栄養の関係については、次の院長コラムとYouTube動画で詳しく説明しています。

院長コラム
良く眠るために、栄養が必要!

YouTube動画
良く眠るために、栄養が必要!

血糖値を安定させる食べ方

食事を抜いたあとに甘いものを多く食べるなど、血糖値が急激に上下しやすい食べ方では、眠気、だるさ、強い空腹感、イライラなどを感じやすくなります。

血糖値を安定させる食事は、糖尿病の予防だけでなく、食後の眠気を減らし、生活リズムを整える助けにもなります。

極端な糖質制限をする必要はありません。

食事を抜かず、主食、たんぱく質、野菜や海藻などを組み合わせることが基本です。

空腹時に甘い飲み物や炭水化物だけをとることは避け、野菜やたんぱく質から先に食べることも意識してみましょう。

プレ更年期のために日常でできること

すべてを一度に変える必要はありません。まずは、自分が続けやすいものを一つ選んでみてください。

  • 朝食をとり、食物繊維とたんぱく質を意識する
  • よくかんでゆっくり食べる
  • 朝起きたら光を浴びる
  • 散歩やストレッチなど、無理のない運動をする
  • 寝る前はスマートフォンの使用をできるだけ控える
  • 深呼吸や入浴など、心と体を休める時間をつくる

「朝に5分だけ外へ出る」「夕食後に10分歩く」など、小さく具体的な目標がお勧めです。

できたことを書き留めて振り返ると、続けやすくなります。

心身を支える食事

セロトニンの材料となるトリプトファンは、大豆製品、魚、肉、卵などに含まれています。

ビタミンB6、マグネシウム、良質な脂質、鉄、亜鉛も、体のさまざまな働きに必要です。

一つの栄養素やサプリメントだけに頼るのではなく、和食を基本に、主食、主菜、副菜を組み合わせて食べましょう。

朝は、ごはん、みそ汁、納豆、卵などのシンプルな献立でも、バランスを整えやすくなります。

婦人科への受診を考えてほしいとき

次のようなときは、一人で抱え込まず、医療機関へ相談してください。

  • 症状が数週間から数か月続き、仕事や家事に支障が出ている
  • 眠れない状態や意欲の低下が続いている
  • 強い動悸やほてりがある
  • 月経量が極端に多い
  • 出血が長く続く
  • 月経以外の出血がある

胸の痛みや強い息苦しさがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

自分を傷つけたい気持ちがある場合は、一人で抱え込まず、できるだけ早く身近な人や医療機関、相談窓口に助けを求めてください。

まとめ

プレ更年期の不調には、女性ホルモンの変動だけでなく、ストレス、睡眠、食事、血糖値など、複数の要素が関係しています。

今までできていたことが難しく感じられても、それはあなたの弱さではありません。

まずは体の中で起きている変化を知り、食事、睡眠、運動、朝の光、ストレスケアなど、できることから少しずつ整えていきましょう。

つらいときや判断に迷うときは、どうぞ婦人科へご相談ください。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。