亜鉛について

亜鉛とは

亜鉛は、人が健康を維持するために大切なミネラルです。亜鉛という言葉になじみが無い方が多いのですが、亜鉛は、とても大切な栄養素です。

ミネラルとは(厚生労働省、e-ヘルスネットより)

生体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称。代表的なものはカルシウム、リン、カリウム、鉄、マグネシウムなど。無機質ともいいます。

ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンを多量ミネラル、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンを微量ミネラルとして、基準を設定しています。

亜鉛の大切さ

亜鉛は全身の細胞内に存在しています。亜鉛は数百におよぶ酵素たんぱく質の構成要素として、さまざまな生体内の反応に関与しています。亜鉛が足りないと酵素がきちんと働かないということになってしまいます。亜鉛がかかわる酵素は、アミノ酸からのたんぱく質の再合成、DNAの合成にもとても大切です。骨の成長や肝臓、腎臓、インスリンを作るすい臓、精子を作っている睾丸など、新しい細胞が作られる組織や器官では必須のミネラルです。

また、体の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する酵素の構成成分であるほか、味覚を感じる味蕾細胞や免疫反応にも関与しています。亜鉛は全身の細胞に存在し、免疫システムが侵入してきた細菌やウイルスを防御するのに役立ちます。タンパク質およびDNA、つまりすべての細胞の中にある遺伝物質を合成するためにも、亜鉛は必要です。妊娠中、乳児期および小児期の体は、十分に成長・発達するために亜鉛を必要とします。亜鉛は身体の傷を治すためにもとても大切で、適正な味覚や臭覚にも重要です。

亜鉛が不足すると

亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなり、成長がうまくいかなくなります。また、亜鉛は味を感じる味蕾細胞の産生に必須であるため、亜鉛不足になると味を感じにくくなる味覚障害になる可能性があります。そのほかに、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、低アルブミン血症、神経感覚障害、認知機能障害などのさまざまな症状が現れます。

亜鉛の吸収障害について

植物性食品に多く含まれる食物繊維やフィチン酸(穀類、豆類に多い)などは、亜鉛の吸収を妨げます。また、加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛欠乏になる場合もあります。加工品に偏った食事をしないよう注意が必要です。インスタント食品やファーストフード、加工食品を摂ることはできるだけ避けましょう。※アルコールの摂取により、亜鉛の排出量が増加します。お酒の飲みすぎも要注意です。

亜鉛を多く含む食品

牡蠣、煮干し、ゴマ、豚肉(レバー)、牛肉、卵黄、鶏肉(レバー)、抹茶(粉)、赤身の肉、鶏肉、カニやロブスターなどの魚介類、豆類、ナッツ類※レバーは老廃物がたまるところなのでできるだけオーガニックなものを選びましょう、抗生物質や遺伝子組み換えエサを使われた肉だと要注意です。

煮干し出し味噌汁

煮干しだし味噌汁のおすすめ

妊娠中の亜鉛の補充

早産を減らし、平均出生児体重を増やす。妊娠高血圧症の発生率の低下、乳児の頭囲の増加にも関連する。(Samira Khayat et al. Artcl in Journal of Clinical and Diagnostic Resarch Sep 2017,P1-12)

妊娠中の重度の亜鉛欠乏症

分娩時間が長い、催奇形性、胎児または胚の死亡率(流産率)と関連する。

妊娠中の亜鉛不足:胎児の小腸絨毛の短縮や小腸の長さ短縮につながるというマウスの報告有り。

妊娠中は亜鉛サプリメント補充

必要量がとても多いので、妊娠中はサプリメントもつかって亜鉛補充がおすすめです。ただし、市販のサプリメントは粗悪品が多いので、医療機関専用のサプリメントがおすすめです。

亜鉛をとると免疫力アップ

亜鉛は免疫力に大切な栄養素です。ウィルス感染症を含めた様々な感染症対策に、亜鉛をとりましょう!

ウイルス感染対策に効果的な〇〇

 

関連コラム

栄養をとるためにおすすめの植物性食品

妊娠中の血小板減少症に対して栄養療法の可能性について

妊活のために大切な養生

インフルエンザワクチンとインフルエンザ感染対策、コロナウィルス感染や風邪対策について

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。