CRP正常でも要注意?慢性炎症を防ぐ腸活・睡眠・食事の見直し方

CRPとは?基準値内でも「炎症がある」ことがある理由

CRP(C反応性タンパク)は血液中の炎症マーカーで、体内に炎症が起きると増加します。正常範囲は0.3未満前後が多いです(検査会社によって異なります)。肺炎やその他様々な感染症では大きく上昇しますが、慢性炎症の場合は0.05〜0.20など「小さな数字の変動」として現れます。CRPが基準値内でも、0.00ではなく数値が出ている場合は軽度の炎症が続いている可能性があります。体のどこかで炎症が静かに起きているサインとして、生活習慣や隠れた炎症源を見直すきっかけになります。

慢性炎症とは?CRP・腸内環境・隠れた炎症源から考える「炎症の原因と対策」

慢性炎症(Silent Inflammation)は、現代人の多くに見られる「気づかないうちに体を蝕む炎症反応」です。腫れや痛みや発熱を伴う急性炎症とは異なり、自覚しづらいまま長く続くのが特徴で、疲労、肌荒れ、太りやすさ、免疫低下、メンタル不調、ホルモンバランスの乱れなど、さまざまな不調の根本原因となります。このコラムでは、慢性炎症が起こる仕組み、CRPとの関係、そして炎症を改善する具体的な生活習慣をわかりやすく解説します。

慢性炎症が起こる主な原因|見落とされやすい“炎症源”とは?

慢性炎症の背景には、食事やストレスだけでなく「隠れた炎症源(フォーカス)」が潜んでいることがあります。以下は特に多い原因です。

◆ ピロリ菌感染

胃の粘膜に炎症を起こし続ける細菌で、胃炎・胃潰瘍の主要因です。消化不良や栄養吸収の低下を招き、慢性炎症の引き金となることがあります。症状がなくても感染していることがあるため、胃の不調や炎症が続く場合は検査が推奨されます。

ピロリ菌を自然療法で除去する

◆ 根尖病巣(歯の根の炎症)

虫歯や神経トラブルによって歯の根に膿が溜まった状態です。痛みがないまま長期間炎症が続くことも多く、ここから炎症物質が血液に流れ、全身の慢性炎症や不調の原因になることがあります。歯の健康は全身の炎症に直結します。(口の中の炎症予防にはエピオス水がお勧めです。)

お口の健康とウィルス感染対策に【エピオス水】がおすすめ!

◆ 上咽頭炎(Bスポット)

鼻の奥、喉の上部にある上咽頭の慢性炎症です。後鼻漏、頭重感、喉の違和感、慢性疲労、自律神経症状との関連が強く、慢性炎症の要因として見落とされがちです。

慢性上咽頭炎治療について(Bスポット療法、上咽頭擦過法EAT)

◆ リーキーガット症候群(腸漏れ)

腸の粘膜が傷み、未消化物や毒素が血液に漏れ出す状態です。加工食品、小麦(グルテン)、砂糖、ストレス、抗生剤などが原因となります。腸は免疫の70%が集中する臓器であり、腸の炎症は全身の炎症へとつながります。

GI-MAP( GIマップ:qPCRによる腸内微生物叢DNA検査)

遅延型アレルギーについて・質問:卵、乳製品は、摂りすぎるとアレルギーになると言ってましたが。他の食材も毎日食べるとアレルギーになりますか?

◆ リーキーブレイン(脳の炎症)

腸の炎症が脳に影響し、脳のバリアが弱まることで起こる現象です。近年では「うつは脳の炎症」という考え方が注目されており、気分の低下、意欲の低下、不安、不眠などのメンタル症状と関係することがあります。

◆ カンジダ増殖

カンジダは、真菌(カビ)の一種です。腸内に常在する菌でもあります。砂糖過多、抗生剤、ストレスによって異常増殖しやすくなります。ガス、膨満感、だるさ、甘い物への渇望などを引き起こし、腸粘膜を刺激して炎症を悪化させます。

お腹にカビがいるか調べられますか?

◆ 寄生虫感染

生肉・生魚・野菜・水などを通じて感染することがあり、腸や肝臓で慢性炎症を起こします。腹部不調や倦怠感、アレルギー症状の原因として見逃されることがあります。

GI-MAP( GIマップ:qPCRによる腸内微生物叢DNA検査)

生活習慣による炎症悪化|あなたの毎日が炎症をつくっている?

以下の生活習慣は慢性炎症を悪化させるリスクがあります。

  • 加工食品・砂糖・小麦・乳製品・揚げ物が多い食生活
  • 睡眠不足や不規則な生活リズム
  • 運動不足、または夜間の激しい運動
  • スマホ・電気毛布・ドライヤー・こたつなどによる電磁波の影響
  • 慢性的なストレスや自律神経の乱れ

その不調、超加工食品が原因かも?

炎症を改善するための具体的な対策

慢性炎症は「小さな習慣の積み重ね」で確実に改善できます。今日から始められる対策をまとめました。

◆ 1. 腸を整える食事に切り替える

腸の炎症は全身の炎症を引き起こすため、食事改善はもっとも重要です。加工食品・砂糖・小麦・乳製品・揚げ物を控え、主食は玄米に。野菜は皮ごと食べる“全体食”を意識し、旬の野菜・果物・海藻・発酵食品などを積極的に取り入れましょう。

玄米ご飯のすすめ

◆ 2. 睡眠で炎症をリセットする

睡眠は炎症の修復時間です。まずは十分な睡眠時間を確保し、就寝前のスマホ画面や午後以降のカフェインを控え、睡眠の質を高めましょう。しっかり眠ることで、翌朝の疲労感や炎症が軽減します。

◆ 3. 適度な運動で血流改善

血流が良くなると炎症物質の代謝が進みます。日中〜夕方のウォーキングやストレッチが最適です。夜の激しい運動は睡眠の妨げになり、逆に炎症を悪化させることがあります。

◆ 4. 電磁波をできるだけ減らす

スマホ、電気毛布、ドライヤー、こたつなどからの電磁波は活性酸素を増やし、血流障害を起こす可能性があるといわれています。就寝時はスマホを体から離す、電気毛布を長時間使わないなど工夫をしましょう。

携帯電話 やWIFI電波など電磁波に要注意!

◆ 5. 隠れた炎症源を検査する

ピロリ菌、根尖病巣、上咽頭炎、カンジダ、寄生虫感染などは自分では気づけません。長引く不調やCRPの微増が続く場合、医療機関でチェックすることをおすすめします。

慢性炎症を整えることは「未来の健康投資」

慢性炎症は気づきにくいぶん、放置されやすい特徴があります。しかし原因を探り、食事・睡眠・運動・生活環境を整えていくことで、体は確実に回復します。

「疲れが取れるようになった」「肌が整った」「気持ちが安定した」といった変化は、炎症が鎮まり始めたサインです。健康は日々の積み重ねによってつくられます。今日からできる小さな改善を始め、炎症のない軽やかな体づくりを進めていきましょう。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。