ぐしかわ看護学校で講義をしてきました。

ぐしかわ看護学校で講義をさせていただきました

ゆいクリニック院長の島袋史です。

 

ぐしかわ看護学校で講義をさせていただきました

ぐしかわ看護学校で講義を行うゆいクリニック院長 島袋史

ゆいクリニック院長の島袋史です。

先日、ぐしかわ看護学校で「妊娠・分娩・新生児・産褥の異常」について、4コマの講義を担当させていただきました。

妊娠中に起こる母体や赤ちゃんの異常、分娩時のリスク、新生児の状態、産後のお母さんの心と体の変化など、周産期看護に関わる大切な内容をお話ししました。

講義では、教科書の内容に加えて、実際の臨床で出会う妊婦さんや産後のお母さんの様子、赤ちゃんへのケア、帝王切開や出産の現場で大切にしていること、母乳育児や早期接触、性教育、健康のための食事についてもお伝えしました。

また、帝王切開の動画、出産の動画、母乳育児Q&A、性教育に関する講義(コンドームの使い方なども含む)、新生児の蘇生人形なども用いながら、教科書だけでは伝わりにくい現場のイメージを持ってもらえるように工夫しました。

講義後にアンケートを書いていただいたところ、生徒さんからたくさんの感想をいただきました。

実際の臨床経験をもとにした内容で、とても興味深く聞くことができた。

帝王切開の動画、出産の動画、性教育の動画など、普通の講義だけでなく動画を用いることで理解しやすく、教科書だけでは学ぶことのできない内容であり、今後の学習や実習に役立つなと感じた。

ゆいクリニックでの実際の話、へその緒がとれるまで胎盤を保存したいと言っていた患者さん、50歳での出産もあることを聞くことができ、様々な出産方法、患者さんがいるのだと知ることができた。

妊娠、分娩、新生児、産褥の異常について、実例や人形を使って説明してくれて、とてもわかりやすかった。逆子でも下から出産する等、聞いたことがないことを聞けて、先生の情熱が伝わった。

帝王切開の動画を初めて見た。「手術するからすぐ終わるんだろうな」と考えて少し甘かったです。手術のようなものだから産後の負担も大きいし、それに加えて育児も始まっていくので大変だと思った。出産を代わることはできないけど、産前産後のケアに力を入れたい。

これまで周産期看護にそこまで関心がなかったが、今回受講して、就職の選択肢の1つとして視野に入れて考えていきたい。

バランスのとれた食事が大切で、無添加がよいと知ることができた。

母乳育児と早期接触について、母子の愛着形成や新生児の発達に関わることを学ぶことができた。

性教育には正しい知識を身につけ、自分も相手も大切にすることが重要であると感じた。

健康のための食事については、今からバランスのとれた食事を意識し、正しい食生活を継続していきたいと考えさせられる講義であった。

性教育については、とても必要性を感じました。日本は性について話すのを恥ずかしがる人が多いので、少しずつ増やしていった方が良いと感じました。

先生の情熱がとても伝わりました。また、ぐし看に来て下さい。

他にも、本当にたくさんの感想をいただきました。アンケートに答えてくれた学生さんたち、ありがとうございます。このような感想をいただき、とても嬉しく思いました。

周産期看護は、お母さんと赤ちゃん、そして家族の人生の大切な節目に関わる看護です。出産は自然な営みである一方で、時には急な変化やリスクもあります。その中で、看護師や助産師がどのように寄り添い、観察し、支えるかはとても重要です。

帝王切開は、赤ちゃんを安全に生むために必要な大切な医療ですが、お母さんにとっては大きな手術でもあります。出産直後から育児が始まり、傷の痛みや睡眠不足、授乳の不安を抱えながら赤ちゃんのお世話をしていくことになります。だからこそ、産前産後のケアはとても大切です。

また、出産の形は一つではありません。自然分娩、帝王切開、骨盤位分娩、高齢妊娠・高齢出産、さまざまな希望を持つご家族など、一人ひとり背景も希望も異なります。医療者は、安全を第一にしながら、その方の思いを尊重して関わっていくことが求められます。

母乳育児や早期接触についても、関心を持ってもらえたことを嬉しく思います。生まれてすぐの赤ちゃんとお母さんのふれあいは、母子の愛着形成や赤ちゃんの安心感につながります。早期接触は、母乳育児のサポートとしてもとても大切です。

食事についての感想も印象的でした。妊娠中、産後、そして日々の健康を支える基本は、毎日の食事です。バランスのとれた食事、できるだけ添加物の少ない食事、たんぱく質や鉄、亜鉛、ビタミン、ミネラルを意識した食事は、妊婦さんや産後のお母さんだけでなく、これから医療者を目指す学生さん自身の健康にもつながります。

性教育についての感想も、とても大切だと感じました。性について話すことは、恥ずかしいことではなく、自分の体と心を守るため、相手を大切にするため、そして望まない妊娠や性感染症を防ぐために必要な知識です。

子どもたちが小さい頃から、自分の体は大切なものだと知り、困った時に相談できる大人がいることを知ることは、とても大切です。性教育は特別なことではなく、命と体と人権を大切にする教育だと思います。

今回の講義を通して、少しでも周産期看護に興味を持ってもらえたこと、また「産前産後のケアに力を入れたい」と感じてもらえたことは、私にとって大きな喜びです。妊娠・出産・産後の時期は、喜びだけでなく、不安や痛み、迷い、孤独を感じることもあります。医療者の何気ない声かけや、そばにいる姿勢、安心できる説明が、お母さんにとって大きな支えになることがあります。看護学生の皆さんが、これからさまざまな分野を学び、実習を経験していく中で、「お母さんと赤ちゃんを支える看護も素敵だな」と思ってもらえたら、とても嬉しく思います。周産期の現場には、命の始まりに関わる緊張感と、家族の新しい出発に立ち会える喜びがあります。大変なこともありますが、とてもやりがいのある分野です。

ぐしかわ看護学校の皆さん、熱心に講義を聞いてくださり、たくさんの感想を書いてくださり、ありがとうございました。皆さんのこれからの学びと成長を、心より応援しています。

以下は看護学校の生徒さんからの質問とその回答です。コラム形式でお答えしました。

ぐしかわ看護学校の生徒からの質問と回答

先日、ぐしかわ看護学校で、妊娠中、分娩、新生児、産褥期の異常や、母乳育児、栄養などについて講義をさせていただきました。講義のあと、生徒の皆さんからたくさんの感想や質問をいただき、とても嬉しく思いました。

今回は、その中でも多くの方に知っていただきたい内容を、「ぐしかわ看護学校の生徒からの質問と回答」として、ひとつの記事にまとめました。妊娠・出産・産後のケアから、婦人科、予防医療、食事や生活習慣まで、看護学生の皆さんならではの視点から寄せられた大切な質問です。

医療の現場では、知識だけでなく、「なぜその支援が必要なのか」「患者さんの不安にどう寄り添うか」を考えることがとても大切です。今回のまとめが、これから学びを深めていく皆さんの参考になれば嬉しいです。

妊娠・出産に関する質問

帝王切開は本当に危険ですか?

帝王切開は現在の医療では安全に行える手術ですが、あくまで手術であり、自然分娩とは異なるリスクがあります。たとえば、出血、感染、麻酔による合併症、血栓症、術後の痛み、将来の妊娠への影響などです。

ただし、胎児機能不全、前置胎盤、分娩停止、重症妊娠高血圧症候群などでは、帝王切開をしないほうが、かえって母子にとって危険なことがあります。大切なのは、「帝王切開が危険だから避ける」という考え方ではなく、その時点で母子にとってどちらがより安全かを考えることです。

無痛分娩にはどんなリスクがありますか?

無痛分娩や硬膜外麻酔には、分娩が長引くこと、低血圧や発熱、分娩後の頭痛や腰の違和感、痛みが少ないことで異常に気づきにくくなる可能性、まれに神経障害や感染などの重い合併症があることが知られています。

ゆいクリニックでは無痛分娩は行っておらず、できるだけ薬や医療介入を減らし、助産師による丁寧な支援を大切にしながら、自然なお産を支える方針をとっています。

逆子の外回転術とはどのようなものですか?

外回転術とは、お腹の上から手で赤ちゃんを誘導して、逆子を頭位に戻す医療行為です。ただし、誰にでも行えるわけではなく、赤ちゃんの状態、胎盤の位置、羊水量、母体の状態などを十分に確認したうえで慎重に判断します。

また、切迫早産、胎児心拍の変化、常位胎盤早期剥離などのリスクもあります。そのため、単なる処置としてではなく、妊婦さんの不安や希望にも寄り添いながら説明と対応を行うことが大切です。

妊娠初期の飲酒は胎児にどれくらい影響しますか?

妊娠中の飲酒については、「これくらいなら安全」と言える量は分かっていません。アルコールは胎盤を通って赤ちゃんに届き、脳や体の発達に影響を与える可能性があります。

特に妊娠初期は、脳、神経、心臓、手足、顔など、大切な器官が作られる時期であり、注意が必要です。ただし、妊娠に気づく前に少量飲んでしまったからといって、必ず赤ちゃんに障害が起こるわけではありません。妊娠が分かった時点でやめること、心配がある場合は妊婦健診で相談することが大切です。

妊娠を希望する人は、どのような食事を心がけるとよいですか?

妊娠を考え始めた時から、食事や栄養を整えておくことが大切です。特に葉酸は、赤ちゃんの神経管形成に関わるため、妊娠前からの摂取がすすめられています。

葉酸だけでなく、たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンD、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、オメガ3脂肪酸なども重要です。何かひとつの栄養素だけを意識するのではなく、ごはん、味噌汁、魚、肉、卵、豆類、野菜、海藻、きのこなどを取り入れた、土台の整った食事を心がけることが大切です。

妊娠準備は女性だけでなく、パートナーも一緒に取り組むことが理想です。

産後・新生児に関する質問

産後の血栓予防には、無理にでも体を動かした方がいいですか?

産後の血栓予防には体を動かすことが大切ですが、「無理にでも動く」ことが大切なのではありません。出産後の体は、出血、貧血、痛み、睡眠不足、帝王切開の傷の痛みなど、大きな負担を受けています。

そのため、体調をみながら安全に少しずつ動くこと、つまり早期離床を目指すことが重要です。まだ歩けない時期でも、ベッドの上で足首を動かしたり、深呼吸をしたりするだけでも血流改善に役立ちます。強い出血やふらつき、発熱などがある場合は無理をせず、医療者と相談しながら進めることが大切です。

深部静脈血栓症より、表在性静脈血栓症の方が多いのはなぜですか?

表在静脈は皮膚のすぐ下を走っているため、外的刺激や圧迫、炎症の影響を受けやすく、血流も滞りやすいという特徴があります。下肢静脈瘤がある場合には、さらに血栓ができやすくなります。

また、表在性血栓は赤み、しこり、痛みなどの症状が目に見えやすく、診断されやすいことも理由のひとつです。一方で、深部静脈血栓症は頻度が低くても肺塞栓症など命に関わる合併症につながることがあるため、産後や術後などのリスクが高い場面では特に注意が必要です。

赤ちゃんは生まれたらタオルでゴシゴシ拭かないと低体温になりますか?

赤ちゃんの体が濡れたままだと体温が下がるため、水分を拭き取ることは大切です。ただし、タオルでゴシゴシこする必要はありません。乾いたタオルでやさしく押さえるように水気を取ることで、赤ちゃんの皮膚を守る胎脂を残しながら低体温も防ぐことができます。

ゆいクリニックでは、出生後すぐにお母さんの胸に抱いてもらう早期母子接触を行っており、赤ちゃんの体温保持にも役立てています。

産褥期やマタニティーブルーズ、産後うつへの支援で大切なことは何ですか?

産後の心の揺れは、「お母さんが弱いから起こるもの」ではなく、誰にでも起こり得る自然な変化です。その前提に立って、まずは責めずに話を聴くこと、孤立させないことが基本になります。

睡眠不足は大きな負担になるため、家事や育児の負担を減らして休める環境を整えることも大切です。授乳の悩みへの支援、家族、とくにパートナーの理解と協力、スクリーニングによる早期発見、継続した見守りも欠かせません。看護においては、症状だけでなく、その人を支える生活環境全体を見る視点が必要です。

人工乳と母乳で育った場合、成人後の健康に差はありますか?

集団としてみると、母乳で育った子どもは将来の肥満や糖尿病などのリスクがやや低い傾向があると報告されています。ただし、それは「母乳だけが正しく、人工乳はだめ」という意味ではありません。

成人後の健康は、授乳方法だけでなく、遺伝、妊娠中の栄養、出生体重、食事、運動、睡眠、社会環境など、さまざまな要因が複雑に関係して決まります。母乳には多くの利点がありますが、人工乳も必要な栄養を補う大切な選択肢です。大切なのは、それぞれの状況に応じて支えていくことです。

婦人科・予防医療に関する質問

低用量ピルはオンライン処方だけでも大丈夫ですか?

オンライン診療は便利ですが、低用量ピルは継続して使う薬であり、血圧、体重、頭痛の有無、血栓症リスクなどを確認しながら安全に続けることが大切です。そのため、定期的な対面診療も重要になります。

オンライン診療と対面診療を上手に組み合わせながら、自分の体に合った方法で継続していくことが望ましいと考えています。

ミレーナ・低用量ピル・アフターピルはどう違うのですか?

低用量ピルは毎日服用して避妊や月経痛の改善、月経周期の調整に役立つ方法です。ミレーナは子宮内に装着し、長期的な避妊や過多月経の改善に有効で、飲み忘れがないのが利点です。アフターピルは避妊に失敗した後に使う緊急避妊薬であり、継続的な避妊法ではありません。

どれを選ぶかは、年齢、月経の状態、妊娠希望の有無、持病、生活スタイルなどによって変わります。「多くの人が使っているから」ではなく、自分に合った方法を選ぶことが大切です。なお、性感染症予防にはコンドームの併用が必要です。

子宮頸がんワクチンは、性交渉経験後でも意味がありますか?

性交渉経験があっても、HPVワクチンの効果がまったくなくなるわけではありません。ワクチンは、すでに感染しているHPVを治すものではありませんが、まだ感染していない型に対しては予防効果が期待できます。

最も効果が高いのは初回性交渉前の接種ですが、性交渉経験後でも接種する意味はあります。副反応として、接種部位の痛み、腫れ、発熱、だるさ、頭痛などがあり、まれに重いアレルギー反応もあります。また、ワクチンを打ってもすべての子宮頸がんを防げるわけではないため、20歳以降は定期的な検診も大切です。

食事・生活習慣に関する質問

忙しい中で健康的な食生活を続けるにはどうしたらよいですか?

健康的な食生活で大切なのは、完璧を目指すことではなく、忙しくても続けられる形にすることです。毎食100点の食事ではなく、1日や1週間の中で整えていく考え方が現実的です。

まずは主食だけで終わらせず、卵、納豆、豆腐、魚、肉などのたんぱく質を毎食意識すること、具だくさんの味噌汁を活用すること、菓子パンやお菓子ではなく体を支える食材を家に常備しておくことが大切です。コンビニでも、おにぎりだけで済ませず、ゆで卵や味噌汁を組み合わせるだけで食事の質は変わります。

栄養の話で「パンや牛乳や揚げ物を控えた方がよい」と言われると、何を食べればよいのか分からなくなります

講義後には、「押しつけがましく感じた」「食べてはいけないものばかりに思えて困る」という率直な感想もいただきました。こうした反応は自然なものだと思います。

大切なのは、いきなりすべてをやめることではなく、「そういう考え方や選択肢がある」と知ることです。食事改善は、必要性を自分で感じた時にはじめて続きやすくなります。まずは、体に入れるものが自分の体調や集中力、将来の健康に影響することを知り、少しずつ見直していくことが大切です。

電子レンジがよくないなら、IHコンロもだめですか?

この質問に対しては、電子レンジやIHクッキングヒーターの健康影響についてはさまざまな意見があり、はっきり分かっていない部分もあるため、気になる場合はできるだけ避けるという考え方を紹介しました。

IHコンロは加熱調理器であり、調理された食品は単に熱が加わったものと考えることができますが、加熱によってビタミンや酵素などの栄養が失われる面もあります。そのため、加工食品や添加物の多い食品を減らし、できるだけ素材の見えるものや、生で食べられるものは生で取り入れることがすすめられます。

おわりに

ぐしかわ看護学校の生徒の皆さんからいただいた質問は、どれも現場で患者さんと向き合ううえでとても大切なものばかりでした。知識として正しい答えを知るだけでなく、その背景にある不安や迷いに気づき、どう寄り添うかを考えることが、看護の力につながっていくのだと思います。

今回のまとめが、これから看護を学んでいく皆さんや、妊娠・出産・育児・婦人科の悩みを持つ方々にとって、少しでも役立つものになれば嬉しいです。

以下は、看護学校の生徒からの質問と回答のコラム一覧です。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。