妊娠中の血小板減少症に対して栄養療法の可能性について

当院で出産された方で、妊娠中に原因不明の血小板減少症がみられた方がいました。

*血小板とは、血球成分のひとつで、血管が損傷した際に止血する役割があります。血小板が減少すると、出血しやすくなる可能性があります。

2015年5月に第1子を出産された際には、妊娠中の血小板はお産一ヶ月前には10.5万まで下がりました。10万5千は低めですが、特に病的に心配するほどではないので、経過見ました。また妊娠中の貧血に対して、保険薬のビタミンCや鉄剤を内服して貧血の改善見られました。ただ、生まれた赤ちゃんが生後早期から体重の増えがゆっくりで貧血もあり治療が必要になったことがありました。

2017年第2子を妊娠されたのですが、妊娠15週の妊娠初期検査の際に血小板10.5万と低く、妊娠20週の再検査の際には11.9万でした。妊娠25週で血液検査の際にHb10g/dlと貧血あり、血小板6.6万と低下していました。血小板減少症のため病院へ紹介して転院されました。その後病院でいろいろと調べたけれども特に原因不明のまま血小板は7万台で経過して、満期で転院先の病院で出産されました。妊娠性の血小板減少症と診断されたとのことでした。第2子の時には母乳育児も問題なく、お子さんも貧血はなかったそうです。今回第3子を妊娠されて、当院での出産を希望して来院されました。

今回7/16 妊娠16週のHB11.6g/dl 血小板13.9万でした。9/13妊娠24週の血液検査でHb10.1g/dl 血小板7.4万と低下みられました。プレネイタルマルチビタミン 4C/日、ヘム鉄1錠/日開始。今まで第1子、第2子では、亜鉛を検査していませんでしたが、亜鉛もチェックして妊娠初期の検査結果は、亜鉛69 血清銅193と亜鉛の著明な低値と低タンパク血症、総コレステロール121とコレステロール低値も認めていました。

サプリメントを開始して一ヶ月後10/17妊娠29週で再検査にてHb10.8g/dl 血小板8.1万と血液所見の改善を認めました。プレネイタルマルチビタミン 4C/日、ヘム鉄1錠/日に加えて、保険薬で処方できるビタミンB(トリドセラン)とビタミンC(アスコルビン酸)も開始しました。11/14 Hb10.4g/dl 血小板10.4万と貧血の増悪ありましたが、血小板は改善を認めました。 プレネイタルマルチビタミン6錠/日に変更。ヘム鉄1錠/日続行し、トリドセランとアスコルビン酸も続行しました。この時点でヘム鉄を増量しなかったのは、MCV104と高値で、貧血の増悪は鉄不足よりもビタミンB葉酸欠乏の影響の可能性があると考えて、マルチビタミンの増量を行いました。

11/26 妊娠35週時の検査では、Hb11.3g/dl 血小板9.9万でした。プレネイタルマルチビタミン8錠/日に増量して他のサプリも続行としました。

12/11 妊娠37週 Hb10.5g/dl 血小板8.9万と低下みられ、プレネイタルマルチビタミン8錠/日へ増量 ヘム鉄2錠/日 シーキングヘルス亜鉛1錠/日開始 この時点の亜鉛48と低値でした。

12/26 妊娠39週 Hb11.6g/dl 血小板9.6万と改善を認めていました。

12/29妊娠39週6日に無事に3314gの男の子を出産されました。

1/4産後5日目 Hb11.7g/dl 血小板14.9万、1/29 産後1ヶ月健診ではHb12.3g/dl 血小板21.9万と回復され、産後の経過も順調に経過されました。

妊娠中に毎回貧血を認めていましたが、鉄剤だけでなく、低タンパク、低ビタミン、亜鉛欠乏にサプリメントによる栄養療法で改善が見られた症例を経験しましたのでご報告しました。妊娠中の原因不明の血小板減少症に対して、栄養療法が効果的である可能性があると考えられます。